2023年版 MAZDA CX-3 レビュー【各論・走りと乗り心地編】

2023年版 MAZDA CX-3 レビュー総覧

2023年後半に、走行1万㎞突破記念のCX-3再レビュー記事を公開しました。見方が多少変わったところもありますので、そちらも合わせてご覧いただくことをお薦めします。

CX-3 走行1万㎞突破記念再レビュー記事一覧


はじめに

どうもこんにちは。

さて、2023年版マツダCX-3レビュー記事も佳境を迎えて参りました。しかし今回のテーマは素人にはとっても敷居が高い「乗り心地」「走り」がテーマです。ついこの間まで「クルマなんてアクセル踏めば走って、ブレーキ踏めば止まるんだろ?」程度にしか考えていなかったワタシがこんな記事を書いて良いものか迷いますが、逆に専門知識抜きでの正直な印象で書かれるレビューというのもあってもいいんじゃないかと自己弁護しつつ、今回もはじめたいと思います。

なお、クルマの評価をするサイトなどでは走りと乗り心地というのは別枠になっていることが多いように思いますが、「走り」について「エンジンがね」とか「サスがトーションでビームなんだよ」とかうんちくをたれることはできませんし、常識的なドライブ上のフィーリングなので乗り心地もリンクしてくる話だということで、同列で書かせていただきます。

また、今回も15S Touringについてのレビューとなりますのでディーゼル車についてはあまり参考にならないと思います。ディーゼルについての情報をお探しの方はご注意いただきつつ、比較対象としてご覧いただければと思います。

【概略】ざっくり言うとこんな感じ

コンパクトカーらしい軽快さと、ひとクラス上の安定感を併せ持つ印象です。

やはりMAZDA2と共通部分が多いですし、見た目の重厚感の割にはエンジンの回転の感じや音は軽快な印象です。絶対的なパワーは大きくありませんので、高速離合や山道などではメリハリのきいた運転が求められますが、エンジンの軽快さもあってしっかりアクセルを踏んでの運転が楽しいですし、CVTではなく6速ATでSportsモードやマニュアルモードもありますので、クルマを操る楽しさを感じながらドライブすることができます。

見方を変えれば、そのような運転をすることができればパワー不足は感じないでしょう。高速への合流や急加速もスムーズにできますし、山道でもスムーズな走りとちょっと攻め気味の走りを使い分けて楽しく走ることができます。

そして、そんな軽快さとは裏腹に、ひとつ上のグレードであるかのような走行中の安定感があります。これは直進でもコーナリングでも同様です。もちろん直進の安定性とコーナリングの安定性はその要因を異にすると思われますが、それはワタシにはわかりません! ゴメンゴメン。とりあえず、しっかり加減速しながらのアクティブなドライブでも想像以上に安心感を持てると思いますよ。

ここまで書いた、軽快さで安定感のあるドライブを楽しむために欠かせない要素が、質の高いシートと、ペダル配置を含めた正しいドライビングポジションです。これがあるからこそ、CX-3の軽快な動きにドライバーが振り回されることなく、安定感をしっかり享受できるように思います。

あと、乗り心地について初期のCX-3がよく指摘されていた、足回りの固さですが、少なくとも15S Touringならまったく問題ありません。個人の感性に左右されることではありますが、割合的に多くの人が文句を言う乗り心地だとはどうしても思えません。恐らく商品改良と16インチホイールの採用で問題は解消されたものと思われます。

逆に言うと18インチの場合、試乗で確認してから購入した方が良いと思いますが、ここで注意です。

2023年7月現在、18インチホイールとなるのは、Super Edgy全タイプ、Urban Dresserの一部タイプ、XD TouringのMT車となっています。そこを意識して試乗車を選んでくださいね。

直進安定性

乗っていてまったく問題を感じません。一般道は当然として、高速道路の追い越し車線での加速時もしっかり安定しており、多少風がある時の高速走行でも、左右に振られる感じはほとんど感じません。全体的にワタシの体感ではコンパクトカー以上の安定性であるように感じます。

まったく意識はできませんが、この直進安定性にも後ほどコーナリングの項で触れるGVC(Gベクタリングコントロール)が寄与しているらしいですね。スゴいぞ! GVC!

加速、減速

加速については概略で書いたとおり、しっかり踏めば充分な加速感が得られます。ただ、オートマですから自分の望むタイミングでシフトチェンジさせるためには、クルマのクセをしっかり掴んだ上で繊細なアクセルワークが必要になる感じです。また、登坂だと低速域から高速域に至るまで、思っていたより低めのギアで引っ張る必要があるように感じています。ですから、高速道路での合流や追い越しなどの加速はしっかりアクセルを踏めば何ら問題がない一方で、アップダウンの多い山道などではオートマ任せにしていると加速したい時にパワーが足りず、キックダウン頼りになってしまう場面があります。

でも、連続したワインディングやアップダウンで頻繁にキックダウンを使うのはあまり気持ちも良くないしカッコよくもありませんよね。だからそういう時はマニュアルモードを活用することで、ストレスのないより楽しい走りを堪能できます。

ちなみにSportsモードについては、少なくとも今のところ、ひたすら低めのギアで引っ張るモードであるように感じています。恐らくそこまで単純なものではないと思うのですが、マニュアルモードを多用しているとあまり使う機会もないため、はじめの頃の印象が拭えない状態です。もう少し試してみて印象が変わったらまた修正したいと思います。

減速について。まずブレーキは「慣れると」とても良い感じ。

はじめじわっと踏み込んだ時、少し利きが甘いような感覚がありました。そこからしっかり踏み込むことで右肩上がりにしっかり利きますので最終的に何の問題もない……というか、むしろ良く利くブレーキだと思います。でも、当初はまっすぐの比例曲線のように踏んだ分だけ機械的に利いてくれた方が操作しやすいのになって感じていました。要するにそれまで乗っていたクルマがそんな感じだったということなのでしょう。

ところが、結構時間がかかりましたが最近になってようやく認識が変わりました。でもちょっとこれ……素人が説明するのは正直難しいですね。

ゆったりしたブレーキングならあまり変わりませんが、早めに踏み込む場合、利きが一定のブレーキなら少し間違うとショックが大きな、いわゆるカックンブレーキになりがちです。そうならないためには、素早いブレーキングの中でもじわっと踏み込むような瞬間が必要です(ホントの緊急ブレーキは別ですよ! 一気に思い切り踏むんですよ!)が、なんというか、それがとてもやりやすい気がするのです。でも、気のせいかもしれません。iDM先生のスパルタ教育によって、ワタシのブレーキングが上達しちゃっただけかもしれませんからね!

これで終わったら怒られそうなので、CX-3運転中のお気に入りブレーキングシーンをひとつ。

踏み始めの利きが穏やかなのはさっき書いたとおりなのですが、6速ATですから減速と共にギアが下がり、そのエンジンブレーキと踏み始めの穏やかな減速感が上手く溶け合うポイントがあるのです。そこにはまると、軽く踏んでいるだけなのに実にスムーズにスピードが落ちてゆきます。

えーと。

とにかく気持ちいいんですよ、この感覚。CVTでは味わえまい!

あと、MAZDA2と違ってリアもディスクブレーキですから、急なブレーキでも安定しているのかもしれませんね。そしてエンジンブレーキの利き具合は結構なめらかです。ワタシもよく3速まで落としつつブレーキをかけますが、なめらかにいけます。2速まで下げると多少はショックが生まれるかな、という感じ。

コーナリング

CX-3が納車されて感激したことはたくさんありすぎますが、コーナリングには驚かされました。

まず、コーナリング中、身体が外に振られる感じがあまりしないことです。これは、シートに身体がしっかりハマりつつ、脊椎で身体をコントロール出来る姿勢が保たれていることと、クルマ自体の旋回性能が基本的な要因。そしてたぶんGVC(Gベクタリングコントロール)が大いにワタシを助けてくれているおかげもあると思います。

だって、ワタシこんなに上手くないですもの。

GVCとはなんぞや? という方はまずこの動画をご覧くださいね。

あと、単純に、良く曲がります。今まで乗っていた他のクルマの感覚だと「このスピードでこの角度のコーナーに入るのはちょっとコワいな」という場面でも、すっと曲がってくれます。コレもたぶんGVCさまのおかげだと思います。

元々限界ギリギリを攻めるような走りはいたしませんので、ハンドルを切ればどのクルマに乗っていてもそれなりに曲がってくれると思います。でも、きつめのコーナーでハンドルを切った時に車体の外側に重心がかかりすぎてタイヤの接地感が弱くなったりすると、ヒヤヒヤ感満載の走行になってしまいます。ところがCX-3は、視点が高いSUVタイプの割に外側に沈みこんで車体が振られる感覚が弱く、4本のタイヤでしっかり路面を掴んでいる感触が得られますので、安心感が高く、結果として速めのスピードでコーナーをクリアすることができるのです。

ただし、ここまで書いたコーナリング性能の良さは、ドライバーのハンドル操作がまずければあまり感じられないでしょう。特にコーナーに入る時にハンドルを切るのが遅れると遠心力がきっちり身体にかかって、外に振られる感覚が大きくなりますし、そういう時は車体の重心も外側に強くかかっている感じになってしまうでしょう。さすがのGVCセンパイも、そこまで物理法則を無視して助けてはくれないようです。


ちなみに当たり前ですけど、この加速・減速やコーナリングの性能については、スポーツ走行を前提にしたクルマと比べれば劣るのは当然です。くれぐれも、ロードスターと比べればまだまだだ! とか言わないで下さいね。評価サイトとか見てると、ホントにそういう比較して評価下げる人がいるもので……。あくまでも、コンパクトから中型のタウン・ファミリーユースなクルマとしての評価です。


ドライビングポジション

マツダ公式より

さて、唐突にドライビングポジションのお話しです。

ここまで、主に走行性能的なことを書いてきましたが、結局のところクルマを操るのはドライバーですから、操作性が悪ければ走行性能がいくら高くてもムダですし、座っているだけで疲れるようなドライバーシートではすべてが台無しです。

そこへ行くと、マツダ車についてはワクワク感しかありませんね。マツダ車を語る時に欠かせないフレーズも「Be a driver」「走る歓び」そして「人馬一体」など、ドライバーファーストであることを主張しまくりです。

まずはシート。しばしば言われる「骨盤を立たせるシート」です。要は腰砕けな姿勢にならないから左右のGに対して振り回されずに対応できるということです。シートについてはコチラの記事の「フロントシート」の項をご覧ください。

とりあえず、マツダのドライビングポジションについてのこだわりはワタシがどうこう書くより、この記事をご覧いただく方が早いですね。

理想のドライビングポジション(運転姿勢)- マツダ公式 - マツダのクルマづくり

で、ワタシはそんな理想がいっぱい詰まったCX-3のシートに座って運転して感じたフィーリングを書きましょう。

実際に運転するまではこう思ってました&してました。

  • 別に今までのクルマもそんなに不自然な姿勢だとは思わなかったけど……
  • オルガンペダル? そんなに変わるんかね?
  • ブレーキ中心の足のポジションでした
    • 基本的にブレーキに合わせて足を置いており、アクセルを踏む時だけかかとを支点にしてつま先を右に向けて足先でアクセルを踏む感じ

まあ、前車のヴィッツにしても、その他普段乗っていたフィットやアクア、NOTEなど、どれに乗っても足のポジションなんて大して違いすらわからないといった程度の認識です。だから何に乗っても同じじゃないの? と思ってしまっていたのですね。

至高のオルガンペダル
至高のオルガンペダル

それが、CX-3に乗って(自分なりに最適のドライビングポジションを探してみた結果)見方がまったく変わりました。

  • 脚を自然に伸ばした位置にペダルがあるってこういうことか!
    • 今までのは確かに左側に偏ってた
  • 自然な位置に足を置いておけるって、なんて快適なんだ!
  • オルガンペダル、超カイカン!
  • アクセル中心に足のポジションを定めました(やっぱ運転の中心はアクセルだよね!)

シートの形状と特性、シートの位置(前後・上下)、そして足のポジションすべてが有機的に関連して運転のしやすさ、快適な乗り心地、クルマとの一体感などの結果を総合的に生み出しているように感じます。そして、運転のしやすさやクルマとの一体感が向上するということは、クルマの走行性能をより引き出すことにもつながるでしょう。そういう意味で、人馬一体の思想の中核にあるのは、もしかするとこのドライバー空間なのかも知れませんね。

一応、気になる点も書いておきましょう。

ブレーキペダルの位置が高い

アクセルの高さに比べてブレーキペダルの位置が高いです。これは踏み間違え事故の防止のためとも言われていますし、高い位置にあると言うことは大きな動作でしっかり踏むことができるということにもつながる気がしますので、悪いことだとは言い切れません。

ただ、アクセルがオルガンペダルであることが少し問題です。オルガンペダルは基本的に足裏全体で踏み込む感じの方がフィーリングも良いし、細かい調整もしやすいといわれます。(ワタシもそう感じます)だからということで、アクセルを自然に足裏全体で踏み込める位置にシートを調整すると、比較的前の方に動かすことになります。しかし、そうするとブレーキの位置が高いのでブレーキペダルに足を移動させると少々窮屈(つま先をすごく上げないといけない感じ)になってしまうのです。だからといってブレーキ側に合わせてシート位置を下げると、アクセルは無理なく踏めるものの、オルガンペダルの快適性を最高に感じるポジションではないような感じがします。

これについてはワタシ自身まだ答えは出ていません。一日の内でも、自分のコンディションや、高速なのか渋滞してる一般道なのかでも最適なシート位置が変わるように思いますし、運転しつつ何度も位置を調整することがあります。オーソドックスなところで言うと、高速ならアクセル優先で比較的前に出し、(特に混んでる)一般道ならブレーキ操作の頻度が多いのでブレーキが楽に踏める後ろよりといった感じ。とは言え、通常は前後の調整はほとんど1~2ノッチの間です。それに合わせてシートの角度も1段階変える時もあるって感じです。シートの高さは乗ってる最中の調整ではほとんどいじりません。たまに気分転換的に変える感じです。

ちなみに、このブレーキペダルの高さのこともあって、アクセルとブレーキの踏み替えは、カジュアル車で一般的な「アクセルとブレーキの間あたりにかかとを置き、かかとを中心に足先を左右に回転させる」スタイルではなく、かかとごと動かすスタイルを採っています。アクセルを踏む時もブレーキを踏む時も足がペダルに正対する感じですね。

これは踏み替えに時間がかかるから急ブレーキの時良くないのではと言われることも多いですが、実際は問題ないと思います。元々急ブレーキの時はかかとを浮かせてしっかり踏めと言われることも多く、それなら足先クルクル派でもかかとごと踏み変えるのと同じことですよね。ワタシの実感としても、かかとごと動かしたからといって踏むまでの時間がかかるとは思いませんし、しっかり踏めますから制動距離的にも問題はないように思います。

もしかするとオルガンペダルはクルコン(MRCC)には向いてないかも

もうひとつ気になるのが、オルガンペダルは積極的に運転を楽しむ人のためのものであって、クルコンなどの自動運転派には向いていないかも、ということです。

ややこしい話ではなく、MRCC作動中の足の置き場に困るっていう話ですw

吊り下げ式ペダルなら、床は空いてますが、オルガンペダルだと床から生えてますからね。まあちょっとした問題です。

静粛性

静粛性についてはとても優れていると思います。もちろん、高級車には負けるでしょうけど。

ロードノイズはそれなりにありますが、車内での会話や音楽を楽しむのにはまったく邪魔になりません。またエンジン音については、しっかり回すと当然それなりに響きますが、心地よい音ですし、大きすぎないし、そもそもエンジン音がしない方がクルマとして気持ち悪いと思っているのでこれでいいです。

特にCX-3ではマニュアルモードもよく使いますので、エンジン音がある程度聞こえないとやりにくくって仕方ありません。実際はじめ慣れるまでは、低回転域では音楽やラジオを付けていたらほとんどエンジン音が聞こえないくらいだったので、かえってシフトチェンジのタイミングが掴みにくかったものです。

外部の音の侵入については優秀だと思います。価格的に同等から少し高いくらいのクルマ数種類と比べても明らかに優れており、特に対向車とすれ違う際の音や、高速走行中の雑音など、特に騒音が気になるシーンでその優秀さを実感しています。

CX-3はクラクションの音がヘボいことで有名ですが、何度かクラクションを鳴らした時、ラジオとかかけていたら、車内ではほとんど聞こえないくらいです。(注意していればわかるとは思いますが)いくらヘボい音とは言え、一応クラクションですし、これもCX-3の静粛性の高さの現れと言えるでしょう。

どちらにせよ、ディーゼルタイプでもそれなりに静粛性を追求して開発されたようですから、ガソリン車である15S Touringなら特に静かに感じるのも道理かも知れませんね。

疲労感

これはシートやドライビングポジションの取り方が大きな要因だと思いますが……ビックリするくらい疲れません。経験的に似たレベルのクルマだとホントに一時間も乗っていれば疲労というか倦怠感というか、要するにもうイヤ! って感じだったのですが、それがほとんどありません。ですから実際、今までなら高速に乗って移動していたケースでも下道でのんびり……ということがとても増えています。あと、全体的な疲労というより、ピンポイント的な腰が痛くなる、疲れるというのもほとんどありません。

なお、この疲労感については、楽な姿勢を取ろうと思ってシートを変に倒し気味にしたりシート位置を下げすぎたりすると、その方が腰が変に曲がって疲労がたまりやすくなると思います。ある程度シートを立てて、深く座って、ある意味背筋を伸ばし気味な感じで座る方が、結局疲れないと思います。

上の方でもドライビングポジションの取り方について書きましたが、以下の記事がとてもわかりやすく説明してくださっています。ぜひ一度ご覧ください。

まず、こちらは有名なモータージャーナリストである竹岡圭さんが解説するドライビングポジション全般の基本知識です。とてもわかりやすいです。

ドライビングポジション(正しい運転姿勢)とは。シートポジションの高さ

竹岡圭の”やさしい”ドライビング入門 - チューリッヒ保険会社

次にコチラは、マツダの開発担当さんによる、実際のドライビングポジションの合わせ方の解説です。手順が丁寧に説明されていますので実践編としてとてもわかりやすいですね!

正しい姿勢で運転できてる? マツダの開発担当さんにドライビングポジションのセット方法を教わってきた

カーセンサー

視界

ワタシはCX-3の視界は良好だと思います。もちろん、SUV的なデザインですので、リアウインドウの位置が高めだったりしますけど、問題ないと思います。

でも、巷ではよく視界が狭いと言われることも多いCX-3ですが、これは後席のサイドウインドウが小さめだからそう感じてしまうのかも知れません。実際のところ、後席の窓が小さいからといって見えにくくなるのはせいぜい車体そばのタイヤまわりくらいのものだと思うのですが、これもドアミラーの視認性がとても高いのでその辺しっかり確認できますからまったく問題ありません。要するに窓が大きかろうが小さかろうが、大事なのは安全運転のために必要な情報が得られているかであって、その点、CX-3は問題ないということです。

また、下の写真をご覧ください。

サイドの窓とリアウインドウの間に小窓が付いています。見ての通りとても小さな窓ですが、これがあることで横から後ろにかけての視界をつなげてくれるので、安心感が増します。交差点の左折時など、サイドミラーでは死角になる左後方から歩道を走ってくる自転車などを確認する時など、具体的に役立つシーンも意外とあったりします。

あと、ちょっとフェアじゃないかなと思って触れませんでしたが、さらにバックモニターに360度ビューモニターなんてものもありますし、後方からの他車の接近を感知するBSM(ブラインドスポットモニタリング)もありますからね。視界なんてまったくノープロブレムですのよ。

その他、走りと乗り心地に関連する装備

パワーシート

ワタシが乗っている15S Touringはパワーシートの設定はありません。インテリアのレビュー記事でも書いたのですが、基本的にシートの移動・調節が電動であろうとなかろうとどっちでもいいというのがワタシの基本的考え方で、仕事中の息抜きでパッとシートを倒したり、食事する時に後ろに下げたりするので逆に電動の方がまどろっこしくてイヤです。

でも、インテリアレビューにも書きましたが、CX-3の手動シートは座面の上下調整はできるのですが、シート前端の高さ調整ができないのがワタシ的にはとても残念です。実際にあと1センチいや、1.5センチだけでも前端を下げられたら……と感じています。その点パワーシートは前端の調整もできるので、その点だけでもパワーシートが欲しいと思ったりいたします。でも、調べてみると、CX-30は手動シートでも前端調整できるんですってよ。どうしてこれを年次改良で取り入れてくれなかったのか! うーん、残念!

前端調整がほしかった!
前端調整がほしかった!(CX-3マニュアルより)

i-stop(アイドリングストップ)

ワタシははじめ、アイドリングストップなんて絶対イヤでした。特にアイドリングストップが流行りだした頃、軽自動車とかで、ちょっと止まる度に盛大にエンジンを再始動させているシーンをよく見ていて、そのイメージが焼き付いていたのですね。

でも、実際にCX-3で体感してみると、エンジンのストップも自然ですし、再始動も最小限の音や振動しかなく、ほぼ瞬時にかかりますので、そういう意味ではほとんど気にならないくらいです。ただ、混んでいる道で頻繁にストップすると、バッテリーに良くないんじゃないかと気を揉んでみたりして精神衛生上良くありません。

ブレーキを軽く踏んだだけだとi-stopは作動しないようにできています(他にも動作しない条件は色々あります)ので、頻繁なアイドリングストップを避けるのは容易なのです……が、停車時のブレーキを保持するオートホールドを作動させるのに必要な踏み込み量とi-stopが作動する踏み込み量がわずかの差しかないので、オートホールドのみを作動させるには繊細なブレーキの踏み込みが必要で、慣れるまではすね辺りの筋肉が緊張で疲れたものですw

i-stopボタン長押しで無効!
i-stopボタン長押しで無効!

今は、ある程度慣れましたし、i-stopが作動したらしたで別にいいじゃないというくらいの気持ちで踏み込んでいるので特に問題はありません。あと、特に混んでいる時はi-stop自体をOFFにすることもあります。ホントはそういう時こそしっかりアイドリングストップすべきじゃないかとも思うのですが、環境よりも自分の車のバッテリーの方が心配なんだから仕方ないじゃないか。ちなみにこのi-stopのOFFはエンジンを切るとON状態に戻りますので、ずっとOFFにしたいなら毎回操作する必要があります。なんか改造キットみたいなのはあるみたいですけど……。

あと、再始動の際ほぼ瞬時にかかるとはいえ、やはり一瞬のラグはありますので、右折時、対向車の流れを見て瞬時にスタートさせたい時などは作動させない方がいいですね。一旦停止した時に作動してしまっても、ハンドルを少し動かしてやるとすぐに再始動します。

色々書きましたけど、結論としては、ホントは要らないね。ゴメンよi-stop。

電動パーキング・オートホールド

はじめに、ご存じだと思いますが念のため。電動パーキングは文字通り電動のパーキングブレーキです。オートホールドは停車中にブレーキペダルから足を離しても停車状態をキープする機構です。

これは実際に納車されるまでは、別にイランと思っていた装備です。

手動のパーキングブレーキを引くのがメンドクサイとか大変だとか思ったことないですし、むしろあのアナログ感あふれるデザインがイイじゃないですか。

でも今となってはその必要性を認めざるを得ません。理由はふたつ。

  • オートホールドは純粋に便利だから
  • 全車速対応MRCC(クルコン)のために(たぶん)必須だから
  • コレのおかげでステキなセンターコンソール&アームレストが実現できたから
電パ様

まず、オートホールドは想像をはるかに超えた便利さでした。今まで必要性を感じたことはありませんでしたが、それは使ったことがないからだったのですね。一度使うと、停車中ブレーキペダルを踏みっぱなしというのが、なかなかの労力だったんだなと理解することができます。

別に大した力を使うわけではありませんし、ほぼ無意識ではありました。でも、ふっと力が抜けると前に出てしまい、ヘタをすると事故につながってしまいますので、潜在的に結構神経を使っていたように思います。また、停車中にいちいちギアをパーキングに入れなくても足をリラックスさせることができるのは、長めのドライブでは目に見えて疲労軽減に役立ちます。

次に、これは他の記事を見た上での知識なので正確かどうか確信はないのですが……全車速対応のクルコン――要するに、前車が停車するのに合わせてコチラも停車するところまでクルコンがやってくれるやつですが、自車が停車した時にその停車状態を維持するために電パは必要らしいですね。(ということはオートホールドも電パありきなのでしょうね)

やはり、どうせクルコン付きなら停車までサポートしてほしいと思うのが当然。CX-3も商品改良によって電パが実装されるまでは30㎞以上の車速でのみ動作するタイプでした。それでも推奨通り高速道路のみで使用していれば実際に困ることはそうありませんが、やはり気は休まりませんよね。それが全車速対応になるのに必須と言われれば改めて電パの偉大さがわかろうというものです。

また、これはCX-3に限ったお話しですが、この電パ&オートホールド実装により、(特に手動パーキングブレーキがなくなったことでスペースができたため)センターコンソールのデザインが一新され、似ていると評判だったMAZDA2のインテリアとは明らかに一線を画することができ、ついでにナイスなアームレストまで登場!

実際のところ、電動パーキングの機能のことだけを考えると、今でも電パは別にいらないです。でも、オートホールドやら全車速対応MRCCやらステキセンターコンソールに必須だと言われると、もうこれは毎朝拝んでもいいレベルですね! ありがとう! 電パッ!

MRCC(マツダレーダークルーズコントロール)

さて、最近は何かと自動運転的なものがもてはやされる傾向にあるようです。マツダももちろんその流れに乗り遅れることはなく、CX-3においてもMRCCなるクルーズコントロールが装備されています。


クルコンは、ベースグレードである15S・XDには付けられません。(オプションでも不可)

15S Touringの2WD車の場合、7万円程度の「セーフティパッケージ」というメーカーオプションを付けることで、MRCCも付いてきます。(4WDなら標準装備です)このオプションは激推しですが、詳細は以下の記事をご覧ください。

そして、XD Touringおよび特別仕様車については標準装備となっていますが、唯一マニュアル車であるXD TouringのMT仕様についてはMRCCは付いていますが、全車速対応ではなく、初期型と同じ30㎞以上の車速のみの対応となります。まあ、触らないのに勝手に停車するなんて、もうマニュアル車とは言えませんし、当然ですねw


で、このMRCCですが、高速道路の走行が大幅に楽になります。もちろん自動運転ではありませんから、急な割り込みへの対応など、常に注意を欠かしてはいけませんが、やはり普通の流れで前車の不意な減速などに対応してくれるのは精神的にとても楽です。トンネル内などはなおさらです。

MRCCの操作はここですべて完結
MRCCの操作はここですべて完結

このMRCCについては、改めて細かくレビューしようと思っていますが、この記事では今まで書いた乗り心地などと関連する、ちょっと思ったことを書きますね。

MRCCの動作について、基本的な前車の認識やスピードの調整は問題ありません。ある程度任せておけるレベルです。ただ、CX-3に乗っていると、このMRCC……というより、クルコンについてちょっと感じることがあるのです。

CX-3は中・小型車界隈で花盛り(日本限定)なCVT(無段階変速)ではなく、6ATです。マニュアル車もあるし、6ATでもマニュアルモード完備で、運転することの楽しさにこだわり続けた造りになっています。しかし、パワーは限定的ですので、上でも書いたようにメリハリのある加速のためには低めのギアできっちりエンジンを回すことが必要になります。

これが、クルコンの作動時、ちょっとした困惑の種になります。

例えば、前車が車線変更していなくなった時、さらにその前のクルマとの距離を詰めようとして自動的に加速してくれます。これがCVT車なら良くも悪くもなだらかにエンジンの回転を上げて加速することになりますが、CX-3の場合、なかなかハードにギアをダウンさせてエンジンを唸らせて加速をはじめます。もちろん実際の加速度はそれほどたいしたことはなく、危険があるようなものではありません。でも、通常このような場面で自分が運転しているなら、軽くアクセルを踏み増して前車との間を詰める程度なのに、ギアが下がって回転数が跳ね上がると、ちょっと心臓に悪いんですよね。しかもコレを高速の下り坂でやられるとついついブレーキを踏みたくなってしまいますw

このへん、クルコンというものはやはり機械的な仕組みだなとやはり感じてしまいますね。スピードや加速度など、当然定まった安全な範囲になるように作動しているのでしょうけれど、人間がどう感じるかというところまでは考慮に入っていないようです。そのことはCX-3に限ったことではないでしょうが、変速が有り、パワーが限定的という性質が、MRCCによりハードな動きをさせているように思えます。

あと、単純に減速のタイミングもちょっと一瞬遅いようにワタシは感じます。自分なら(ブレーキを筆いるかどうかはともかく)絶対減速をはじめているタイミングで、MRCCはまだまだ突撃中みたいなことが結構あります。これは個人差がある問題だと思いますが、車間については調整できるのですから、減速のタイミングも多少は調整できるようになれば、劇的に安心感が増すと思います。

ちょっとマイナスなことを書いたので、誤解なきよう、もう一度言いますが、基本的にとても使い勝手が良いシステムです。絶対あった方が良いと思います。肉体的な疲れの軽減と言うより、精神的な疲れがまったく違ってきますので。特に夜間やトンネルでは顕著ですよ。

ただ、変速があることも含め、運転を楽しむタイプのクルマというのは、本来はクルコン向きじゃないのかなとは思いました。オルガンペダルであることも、MRCC作動中の足の置き場に困るという問題の原因になっていることは上の方でも書きましたし。

自動運転にはドライバーの楽しさなんて不要なのでしょう。機械的なスムーズさに優れるCVTやら電動自動車やらそんなものの方が向いているのかも。とっても便利だけど、まったく面白くはなさそう。でも自動車というものが全体的にそんな方向に向かいつつあるように思えて……イヤな世の中ですねぇ。

ここはマツダ、そしてCX-3がまだまだ頑張って運転の楽しさを広めないとね!(ムリとか言わないように)

最後に

一口に走りとか乗り心地とか言っても色々な要素が絡み合うものですね。こうして記事を書いてみるとそれをとても実感いたします。

今のところ、このレビュー記事も「総論」「エクステリア」「インテリア」と来て、今回に至っておりますが、どの記事にも似たようなこと書いてるなと苦笑しきりです。

でも、仕方ないんですよね。

走りについて書くにしても、(レースマシンならともかく)乗り心地抜きの走りのレビューなんて意味ないし、乗り心地にはインテリアも関係するし、シートの配置にはエクステリアも関わってくるし云々。

一人で一つの駄文を書くにもこれだけ色んな要素が絡み合ってまとめるのが大変なのですから、実際に大勢が関わってひとつの車両を開発するというのは想像以上に大変なことなのでしょうね。2023年版のCX-3レビューの大きな記事はまずはこれで一段落のつもりですが、これからはより細かくCX-3の良いところを取り上げて、書くつもりです。

誰の役に立つものでもないかも知れませんが、こういう作業を通じて少しでもこのクルマを作って下さった方々の努力と叡智を身近に感じることができればうれしいなと思います。

それではまた。

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