MMORPG EVE Onlineの情報。初心者向け情報、プレイ日記やニュース、そして国家・人物・歴史・社会・文化・経済・物語などのバックストーリー翻訳。
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Saaren調査ファイル 09 – インタキシンジケート【その壱】

※ 先週の第7調査班ニュース06にて、今回の調査に先立つ翻訳文献の公開情報を掲載いたしましたが、作業中の文献についても完成いたしましたので、ニュース中の該当箇所を修正しております。

今回の調査は「The Syndicate」いわゆるインタキシンジケートが対象である。

いわゆる海賊勢力に分類することも可能かと考えるが、その活動の実態を踏まえると、海賊と言うよりは非合法組織と呼ぶ方がふさわしいように思う。文献によると、まさに「Syndicate」と名付けられたリージョンを拠点に活動する彼らは、そこで外部の業者が安心して出入りして取引することができるように、むしろ治安に気を配っているとのこと。実際、皆さんも「シンジケート勢力」なる敵に襲われた経験は無いのではなかろうか?

もちろん軍事力を持たないわけではなく、Intaki Space Police(インタキ宇宙警察)という、警察・防衛組織としてなんともご立派なコーポレーションを傘下に有している。ただし、その名前から想像できるように、やはりその行動は防衛に特化しているとみられている。

さて、このような基本情報は、前回の調査班ニュースに掲載した新規公開文献をご覧いただくとして、本日は現地調査。目的地はインタキシンジケートの根拠地であるSyndicateリージョン内、Poitot星系だ。

先ほど、シンジケートは領内の治安に気を配って……と述べたばかりだが、リージョン内はヌルセク領域となっており、一般の旅行者にとって無法地帯であることには変わりない。以前同じくヌルセク地帯であるサーペンティスの本拠星系へ向かった時は、探検に長けた(自己申告)友人のふりっぷの船に同乗させてもらったが、調査の旅に呼び出すわけにもいかない。そう考えた私は、今まで調査に使っていたTristanからシャトルに乗り換えることにした。

私は知らなかったのだが、シャトルはヌルセク領域でよく使われるワープ妨害フィールドの影響を無効化できるということのようだ。ハイセク、ローセクを活動の中心にしていると意外と見逃してしまいがちだけれど、ヌルセクの移動には欠かせない存在として重宝されているようだ。

ただし、装備は何も積むことはできないため、紙装甲、武装無し、アフターバーナーも無しということで、カプセラとしての経験が浅いからこそ余計に心許ない。そこで私は出発前にDodixieのマーケットへ赴き、少しでもましなシャトルを物色した。その結果、少々高くついたが、これを購入した。

Council Diplomatic Shuttle
Council Diplomatic Shuttle

Council Diplomatic Shuttle、議会所有外交用シャトルである。CONCORD用の小型フリゲートを元に造られた装甲輸送船で、要人輸送やCONCORD議会へ参加するCSMメンバーの輸送にも使われたという、その説明だけを聞けばとてつもなくすごそうな機体だ。スペック的にもガレンテシャトルをはるかにしのぐ 、デフォルトで各300のアーマー、シールドを備えている。

……気休めにしかならないことはわかっている。しかし、危険な旅に出る者にとっては、その気休めが以外と重要なものだと信じよう。

というわけで、今回の旅の起点はここDodixie。ここからまずは、インタキ人の故郷であるインタキ星系へと向かうこととし、航路を設定する。

Dodixie - Intaki 12jumps
Dodixie – Intaki 12jumps

12ジャンプの旅程だ。それほど遠くはないが後半はセキュリティステータスが低くなってくるため油断はできない。私は気を引き締めて新たな機体に乗り込み、出発した。

現地調査へ出発
現地調査へ出発
ワープの際、翼を下げるのがクールである
ワープの際、翼を下げるのがクールである

寄り道 – Ouraphehのシタデル

気を引き締めて臨んだものの、なかなかに順調な道中だったが、途中Ourapheh(オーラフェー)星系を通過しようとしたところ、レーダーに映る見慣れない構造体を発見、すぐさま現地へ向かう。

ワープアウトした私の目の前には巨大なシタデルが。Astrahus型のシタデルだが、どうもカプセラのアライアンスにより運営されているものではないようだ。インフォメーションを確認の上、艦内からデータベースにアクセスして調べてみると、どうやらYC118年にアップウェル・コンソーシアムが発表した新型シタデルのプロトタイプのようだ。カプセラによる援助を受けて5カ所に建設されたうちのひとつがこれというわけだ。

今やそれほど珍しいものではなくなってはいるが、やはり目の前でじっくり観察するとその偉容に、畏敬の念に似た感情が浮かんでくるのを感じる。私はこのシタデルを一回りして、この地をあとにし……ようと思ったが、レーダーにはもう一つ、捨てられたミンマターの軍事ステーションが映っていたため、ついでにそれも見ておこうと舵を切った。

ミンマター軍事ステーションの残骸
ミンマター軍事ステーションの残骸

捨てられたステーションである。何か由来があるのか……? 調べようと思ったが、それどころではなかった。写真もこの一枚きりだ。理由はこれだ。

襲われた

海賊が廃墟を眺める私に襲いかかってきたのである。正直なところ雑魚であろう。しかし、今の私はもっと雑魚である。そう、シャトルなのだ。いや、たしかにシャトルじゃなくても私はろくに戦えないけれどもそれはさておき。

ステーションを観察中の不意を突かれた私のシャトルに次々と被弾する。しかしアフターバーナーも武装もリペアラもない私にできることは、ただ別の天体を目指してワープすることだけだった。幸いシャトルだけに素早くワープインすることができ、事なきを得たが、シールドは完全に剥がれ、アーマーも残りわずかという状況。恐らくこのCONCORD製の特製シャトルではなく、通常のガレンテシャトルならば墜とされていただろう。

私は自分の不注意は棚に上げ、この特製シャトルを選んだ先見の明を自画自賛したのだった。

インタキ星系・SilphyとSantimona

そしてついに第一の目的地、インタキ星系へ到着した。

ここへは以前、インタキ人の母星、Intaki Vの現地調査に訪れているため、今回特に詳細に触れるつもりはない。それでもここに立ち寄ったのは、今回翻訳・編纂版を公開したクロニクル「Ante」があったからである。

この物語は、Sisters of EVEのCEOにして宗教的にもレヴァレンドマザーと呼ばれるシンボル的存在である、Santimona SarpatiとインタキシンジケートのCEOであり、シンジケートの実質的支配者であるSilphy en Diabelという二人の女性の物語だ。

かつてSoEのメンバーとして友情で結ばれていた二人だったが、Silphyが亡き父の後を継ぐためにシンジケートへ戻ったことでその関係は絶たれた。この物語はそんな二人がそれぞれの思惑を抱きながら、ここ、Intaki Vで再会した時のものである。ワームホール進出を狙うSoEとインタキの商取引への介入を狙うシンジケートというそれぞれの思惑が絡みつつ、お互いのことを知り尽くしたかつての親友の情もさりげなく語られる佳作である。

しかもこの二人、Santimonaはサーペンティスの前身の創始者を父に持ち、現サーペンティスのCEOの女兄弟であり、Silphyも前述の通り、父がシンジケートを実質的に治めていたという経歴の持ち主である。このような異色の出自を持ち、しかもそれに恥じない才能とカリスマ性を持つ二人の物語だと踏まえた上で物語を読むと、より感じるところがある。同じ女性として、こうはなれないと思う一方で、憧れの気持ちも感じる。

だから私は、今回ここをはじめの目的地に選んだのだ。私の調査活動はあくまでも人類学的観点から行っているものなので、このような歴史を彩る個人に着目した寄り道も、意義のあることだ……と思う。

しかし、さすがに寄っただけで、なんの調査もしないというのではそんな主張も説得力を失ってしまうだろう。前に来た時はIntaki Vに焦点を当てたものだったので、今回はあらためて星系全体を眺め、現在のインタキの状況を再確認しておこうと思う。

インタキ人は、言うまでもなくガレンテ連邦を形成する主要4種族のひとつである。しかし、その母星系であるインタキ星系はセキュリティステータスが0.1と低く、現在も戦闘地域に指定されている状況である。かつてガレンテの領地だったものの、ここを巡る戦闘でカルダリに敗れたことから、カルダリに支配権が移り、さらにカルダリがここの開発権をメガコーポレーション間のオークションにかけ、Ishukone社が落札して実質的支配を行っている、というのがここ最近のインタキ星系を巡る歴史の流れである。

この歴史を裏付けるように、現在も星系内で運営されているステーションはガレンテ企業のものが多い一方で、カルダリの軍事施設も散在している。さらにこの混迷した状況を強く印象づけるのが、この二つの施設である。

Federal Stellar Observatory(連邦恒星観測所)
Federal Stellar Observatory(連邦恒星観測所)

まずはこの、Federal Stellar Observatory(連邦恒星観測所)である。これはEDENCOMが主導するトリグラビアン対策の一環として機能する観測所だが、ガレンテ連邦によって運営・管理されている。周辺にはガレンテ、EDENCOMの艦船が多数存在し、防衛の任に当たっている。

もうひとつがこのInfrastracture Hub、まさに星系の支配を象徴する建造物だが、画像の通り、これはカルダリによって設置されたものである。これらの建造物からもカルダリが星系を支配しつつもガレンテ連邦の影響も色濃く残る現状を見て取ることができる。

このような母なる星系の状況であるから、かつて星系を追われた者やその後継者達からなるシンジケートにとっては、大きな動きはなかなか起こせないとしても、何らかの関与を狙うだろうことは自然の成り行きかも知れない。さあ、このあたりで小休止を取り、次回はインタキを追われた者達が位置から作り上げた巨大組織、シンジケートの領域、そしてその心臓部であるPoitot星系へ向かうこととしよう。


調査後記

私は一旦Intaki V付近のステーションへ入港し、今日の調査を振り返った。インタキ星系に立ち寄るかどうかははじめは迷っていたけれど、やはり来て正解だったと思う。私は人類学の一研究者だから、シンジケートの闇取引の実態とかその影響力の大きさなどの詳しいことはわからない。今日扱った、インタキ星系の政治的状況も詳しくわかっているとは言えない。

カプセラになって現地調査に出るまでは、文字通り机上の研究に打ち込んでいたので、その学問の本来の範囲から外れたことは良くも悪くも視界に入らなかった。もちろん理論としては、色々な要素が絡まって現実が形作られていることはわかっていたけれど、それでも自分が没頭するのは専門分野ど真ん中のことだけだった。

まず宇宙や自然があり、人があり、人の関係があり、モノが造られ、文化と共に社会や経済が生まれる。人の信念があれば利害もあり、人はぶつかり、戦いを始める。現地に赴くようになって、その複雑に絡まった糸の中で、自分の専門分野だけを器用にほどいていくということはより難しいし、正しい研究姿勢ではないように思うようになった。
もちろん、自分の専門分野はしっかり中心に据えておかないと、研究として用をなさなくなるのでさじ加減が難しいところではあるけれど。

インタキシンジケートのことを語るのに、インタキの歴史抜きには語れない。だからこそ、まずはここに立ち寄ったのは正解だったと思うのだ。

明日はシンジケートの中枢に行くというのに、なぜか心躍る。調子に乗って墜とされないようにしなくては。

それでは、明日のために眠るといたしましょうか。

おやすみなさい。

University of Caille 人類学部第7調査班
首席研究員 Saaren Arma

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