MMORPG EVE Onlineの情報。初心者向け情報、プレイ日記やニュース、そして国家・人物・歴史・社会・文化・経済・物語などのバックストーリー翻訳。
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Saaren調査ファイル 05 – インタキ・プライム

今週の私はUoC(University of Caille)の研究室にこもりきりだった。と言っても特に変わったことをしていたわけではなく、いつも通り文献の編纂・翻訳にかかりきりだったからである。主にガレンテ連邦を構成する種族の文献を整理していたのだが、ふと目を引いたのが連邦四大種族のひとつ、インタキ人に関する文献だった。

比較的冷静、もしくは控えめな物腰という印象があるインタキ人。しかしその一種内向的と言える性質を活かし、芸術家、外交官などとして成功する者も多く、ガレンテ連邦において確固たる地位を築いている。

しかし、私が興味を引かれたのは、むしろ「負」の部分だ。

このNew Edenでは多くの人種が入り乱れており、ひとつの民族がクラスター全体に分散しているということは珍しいことではないだろう。しかしインタキ人は今日までにガレンテ連邦の主要民族としての地位を築く一方で、政治的迫害から連邦を追われたり、自ら離脱して別勢力の一員として生きる者も多い。カルダリ連合で兵士として生きる者、インタキ・シンジケートのメンバーとして生きる者など、様々である。さらに母星であるインタキ・プライムはカルダリにより占領され、カルダリの大企業、イシュコネがその開発権を手中に収めることとなっている。そのあたりの事情を総合的にとらえ「分断された民族」としてインタキ人を見る向きも多いようだ。

私は研究用の端末を閉じ、旅支度を始めた。

そう、この目でインタキ・プライムの現状を確認するために。


私は目下の愛機であるQuafeカラーのTristanに搭乗し、ルートをセットする。なかなかの遠方なので、かつてインタキ人が植民地としていたがタイタンによる攻撃を受け廃墟の星となってしまったReschard V(レスチャード第5惑星)にも脚を伸ばすこととする。

Trossere - Reschard - Intakiの旅程
Trossere – Reschard – Intakiの旅程

Reschardはともかく、インタキもセキュリティステータスが非常に低い。ガレンテ連邦とカルダリ連合の領域が交錯しており、絶え間なく戦闘が行われているようで、連邦の主要民族の母星がある星系の割には安定している感じがしない。もっとも、不安定ということだけならガレンテ・プライムも負けてはいないわけだが。

Reschard V

私はまず、Reschard第5惑星へと艦を進める。近づくにつれてセキュリティステータスが低くなるので慎重に。まだカプセラとしては新米なので、クローク(遮蔽装置)も使えない。現地調査中も警戒を怠らないようにしなくては。

そして、現地へ到着した……が、私は自分の目を疑った。

かつて入植者で賑わっていたはずのReschard第5惑星

「これは……なに?」

荒涼と……などと生やさしいものではない。まさに枯れ果てたという言葉がふさわしい。

もちろん、広い宇宙ではこのような惑星はまったく珍しくない。しかし、ここはかつて人が暮らしていたはずではなかったか?

私は急いで文献を確認する。もしかすると違う惑星に来てしまったのではないかと思ったからだ。しかし不幸なことに、文献の記述も「第5惑星」となっていたし、ふと目をやった艦のオーバービューにも間違いではない証拠が映っていた。

「Reschard V Disaster Memorial」

事前にその存在を把握していた、Reschard Vを襲った災禍の記念碑だ。

Reschard V Disaster Memorial

私は身震いした。確かこの星を襲ったのはタイタンに搭載された「ドゥームズデイ・デバイス」だと聞いている。それが原因で惑星規模の大爆発が起こり人が住めなくなったことも知っている。しかし眼前に広がる光景は、人が住めるかどうかというレベルではなく、動物も植物もあらゆる意味の「生」が失われていることが確信できるものなのだ。

別に反戦主義者を気取るつもりはない。ただ、恐ろしかったのだ。

私は悪夢を振り払うように何度か首を振り、気を取り直してモニュメントへ接近した。

モニュメントという割にはステーションに近い造りのようだ。中型のドッキングベイを持ち、内部の滞在設備も完備されているようだ。モニュメントには災害の記録が記されていたので、ここにそれを引用しよう。

(管理人注 : ゲーム内の記載は英語のため、翻訳して掲載します)

このモニュメントは、Reschard Vにおける大災害で亡くなったすべての人々を追悼するためのものである。

This monument serves to remember all those who died in the Reschard V Disaster.

ガレンテ連邦を建設するにあたり、この世界の死を忘れてはならない。

Let not the death of this world be forgotten as we build the Gallente Federation.

YC108年、Reschard Vは突然、電磁的なドゥームズデイの攻撃を受けた。その大爆発は、膨大な量の大気を包み込み、半球全体を致命的な放射線で飽和させた。膨大な量のエネルギーが爆発的に大気中に注入された結果、地球規模のメガストームが発生し、地球上で猛威を振るった。爆発の影響と放射線とともに、壊滅的な暴風雨は地上生活の90%近くを死滅させ、人類の生存率はわずか5万分の1と推定された。

In YC108, the planet of Reschard V was suddenly hit with an electromagnetic doomsday weapon attack. The massive explosion enveloped a huge volume of atmosphere and saturated an entire hemisphere in deadly radiation. The explosive injection of enormous quantities of energy into the atmosphere resulted in global megastorms that raged around the planet. Together with the explosive effects and radiation, the devastating storms killed nearly 90% of surface life, with human survival estimated at one in fifty-thousand.

ある種の終末兵器がキャピタルシップによって上空に配備されたことはテレメトリ(遠隔測定)から明らかであったが、CONCORDを中心とした調査により、この攻撃の背後にEquilibrium of Mankind(EOM 訳注 : アマー発祥の終末論を説くカルト集団)がいたことを示す明確な証拠が発見されるまでには数ヶ月を要した。この黙示録的な虐殺を招いた教団が使用したのは、旧式の無制限放射型のドゥームズデイ・デバイスを搭載したアバター級タイタンであった。CONCORDは、大規模なパニックを防ぐために、この情報を大々的には公表しなかったが、結論は徐々に漏れ、噂の元となり、静かに真実と認められていったのである。

While it was clear from telemetry that some kind of doomsday weapon had been deployed in the upper atmosphere by a capital ship, it took an investigation headed by CONCORD many months to uncover clear evidence that the Equilibrium of Mankind (EOM) had been behind the attack. The apocalyptic, genocidal cult had used an Avatar-class Titan fitted with an old-style, unrestrained radiative doomsday device. CONCORD did not widely release this information, hoping to prevent a mass panic, but the conclusions slowly leaked and formed the basis of rumors that were quietly acknowledged as true.

EOMのアバターがその後どうなったのかは謎のままであったが、YC123年5月、Equilibriumのエージェントであり(Khanid)クーニッドの将軍でもあるAlar Chakaidが、新型の改良型指向性エネルギー兵器で惑星Kahah IIIした際に再び使用された。これはKahah III上空で破壊されたが、CONCORDのアナリストは、EOMアバターのスキャン結果から、この巨大な船の正面部分が大幅に修復されていることを指摘した。大幅に改造された旧式のドゥームズデイを惑星の大気圏近くで発射したことによるフィードバック効果で、兵器が破壊され、タイタンが深刻なダメージを受けたのではないかと推測する声もある。

The fate of the EOM’s Avatar remained a mystery subject to much speculation until May YC123, when it was used by Equilibrium agent and Khanid warlord Alar Chakaid to bombard the planet Kahah III with a modified directed-energy weapon of the newer type. Although it was destroyed over Kahah III, CONCORD analysts have suggested that scans of the EOM Avatar indicate significant repairs to the frontal sections of the massive vessel. Some have speculated that feedback effects from firing a heavily-modified old-style doomsday close to a planetary atmosphere could have destroyed the weapon and severely damaged the Titan.

Reschard Vの災害は、連邦側の領土保全と災害対応の両方において大きな失敗だったと考えられている。Sisters of EVEは初期の救助活動において大きな役割を果たしたが、重要な連邦の物資が遠く離れた低セキュリティの星系に到着した時にはすでに、惑星のほとんどの住民にとって手遅れだった。救援活動を支援する者もいれば、実際に救援隊を狩って破壊する者もいるなど、カプセラたちは自らが慈悲の天使であると同時に破壊の悪魔でもあることを証明した。その後の捜索・救助活動により、約2,000人の生存者が地中深くの洞窟から救出された。この幸運なわずかな人々は、他の何千万人ものReschard Vの入植者が乗り越えられなかった困難をくぐり抜けたのである。

The Reschard V Disaster was considered a huge failure both of territorial security and disaster response on the Federation’s part. The Sisters of EVE played a major role in the early rescue efforts but by the time substantial Federation resources arrived at the remote low-security system it was far too late for most inhabitants of the planet. Independent capsuleers proved themselves to be both angels of mercy and demons of destruction, as some supported relief efforts, while others actually hunted and destroyed relief convoys. Later search and rescue operations were to recover some 2,000 survivors from deep subterranean caves. Those lucky few beat odds that tens of millions of other Reschard colonists were unable to overcome.

ガレンテ連邦は、その領地の端で起きた重大な人道的危機に対して精彩を欠いた対応をしていたことが、周辺の多くの惑星から指摘されていた。そしてReschard Vの事件は、ガレンテ行政が領土の外縁地域に対してより公平に扱うことを求める政治的な動きを強める一因となった。この連邦政治の大きな流れは、最終的にYC122年のCeles Aguard大統領の選出の大きな要因となった。

The Gallente Federation’s lackluster response to a monumental humanitarian crisis on the edge of its domains was noted by many planets around its periphery, and the Reschard V incident surely contributed to a growing political movement demanding more equable treatment for the outer regions of the Gallente polity. This powerful current in the politics of the Federation was ultimately a major factor in the election of President Celes Aguard in YC122.

Reschard V Disaster Memorial

今もこの種のドゥームズデイ・デバイス兵器は宇宙空間での戦闘で多く使われていると聞く。広大な宇宙のスケールに人間の感覚は麻痺してしまっているのかも知れない。争いは世の常であり、争いには力が必要だ。しかしこれは過ぎた力ではないのだろうか?

そんなことを思いつつ、私は本来の目的地であるインタキ・プライムへと舵を切るのだった。

インタキ・プライム

Reschard Vからインタキ星系の道のりは距離的には近いものの、ガレンテ連邦とカルダリ連合が激しい戦闘を続けているため、それぞれの戦闘艦を目にする頻度も多い。私は極力目立った動きは取らないように気をつけながら航行を続け、ようやくインタキ星系へとたどり着き、インタキ・プライムすなわちIntaki Vへと向かった。

Intaki V
Intaki V

そして到着したIntaki Vはあまりにも穏やかな光景だった。

Reschard Vを先に見ていたからだろう。

聞くところによると、この惑星はかなり高温で赤道地帯では生物がほとんど生息できないほどのようだ。そして両極地ですら熱帯気候とのこと。宇宙から見ても大陸を覆う緑の色が濃いように感じるし、周回して観察したところ、大きな台風のような雲を所々に見かけることができた。総じて生命力が凝縮されているような印象を受ける。

この惑星を眺めているだけならば、とても平和な光景だが、その周辺にはインタキ・プライムの過去の出来事を感じさせるものがいくつか確認できる。アストラル採掘(企業名)の貯蔵ステーションが浮かび、カルダリ企業イシュコネの工業船・輸送船が忙しく出入りしている。そしてそのイシュコネ船をMordu(モードゥ)の護衛船が警備している。言うまでもなく、インタキ・プライムがカルダリに占領され、その開発権をイシュコネが落札したゆえの光景だろう。このインタキ・プライムが産み出す恵みを享受するのは今やインタキ人ではなく、イシュコネなのかもしれない。歴史を知らなければなんでもない光景だが、こういったところにも、インタキ人の悲哀を感じる。

そして、カプセラによって建造された産業トレードハブ浮かんでいる。

Diaspora Industrial Freeport

「Diaspora Industrial Freeport」と名付けられたこのハブは、インタキ人の文化・伝統の発展と種族の安全を求めて活動するアライアンス「Intaki Prosperity Initiative」旗下のコーポレーションによって運営されている。そのコーポレーションはインタキ人の連邦内での地位向上や自由を求めているとのことで、このハブの運営目的もインタキ経済の発展に寄与することを目的に建設されたようだ。

連邦内での数的地位は高いはずのインタキ人であるが、やはり数だけでは計れないものがあるのだ。特にこの不安定な情勢下では、連邦内のハト派の多数派を構成するインタキ人への風当たりが強いのも頷ける。

ガレンテ中心に歴史を見れば、インタキ人はガレンテによって文明が加速度的に進歩し、連邦創設のメンバーとなり、ある意味庇護を受けた立場とも言えるが、やはり歴史というものは複雑だ。もっともこの現地調査報告ではこれ以上深くは触れないが、やはり現地の調査というものは知識を裏付けてくれるものだと今回も実感した。


調査後記

私は現地調査を通して、ガレンテ・プライム、カルダリ・プライム、そして今回のインタキ・プライムと3つの大種族の母星の今をすでに確認した。これからも他の種族の母星を調査することになるだろう。

母星というのは、種族のふるさとである。本来ならもう少し優しさにあふれる調査になっても良さそうなものだけれど。残念ながら今のところ、そうはなっていない。もちろん人類が歴史を作り上げる中で過酷な運命や過程を経るということは当然のことでもある。ただ、それを乗り越えていれば、そのような厳しい過去のことももう少し懐かしい目で見ることができそうなものだが、残念ながら私がそれぞれの母星を見た目はもっと哀しいなにかを含んだ視線だったように思う。

私はこう感じていたのだろう。人類は未だ過酷な運命のただ中にあると。

それでも私は私の仕事をこなすことしかできそうにない。願わくば私たちの取り組んでいる仕事が、いつか人類を素晴らしい未来に導く小さな道しるべのひとつになりますように。

私は調査の結果に満足と一抹の無力感を覚えつつ、この国境地帯をあとにするのだった。

University of Caille 人類学部第7調査班
首席研究員 Saaren Arma

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