MMORPG EVE Onlineの情報。初心者向け情報、プレイ日記やニュース、そして国家・人物・歴史・社会・文化・経済・物語などのバックストーリー翻訳。
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ミステリーツアーはどこへゆく? – 臨終・地獄・黄泉そして天国

前回からの続きです。

というわけで、アマー西部に広がるヌルセク地帯まで4ジャンプと迫るBapraya星系「CreoDron Factory」で、宇宙庶民ふりっぷは……まだ寝息を立てています。ミステリーツアー二日目の今日は初のヌルセク地帯へ突入予定ですが、果たして無事にたどり着き、そして帰ることができるでしょうか?

甲高く通信機の呼び出し音がワタシを起こす。通信機の受信をオンにすると少しいらだったような声が部屋に響く。

「調子、どう?」

なおみん博士だ。何でいらついているのだろう。そう思いながら、昨日の顛末を伝える。

「どうやら稼げてるみたいね……でもさ」
なおみん博士は特に喜ぶわけでもなく、さらに言葉を続ける。

「お金ないんだけど」

どうやら材料費に生産品の売れるスピードがついて行っていない模様。クルーズミサイルの製造に着手して材料費が結構かかっているのに、それまでに造ったライトミサイルとかがまだまだ売れ残っているようで……。

「今までアンタが集めてきたガラクタどもを再処理してなんとかしのいでるけど、あと現金はこんだけよ」
そう言って彼女はウォレットの残高を画像で送ってきた。

なおみん氏のお財布事情

ミッションで手に入れた装備品のうち、ある程度以上の値段のものは値段を付けて売り払っていますが、1万isk以下の装備品は一つ一つ値段を付けても手間ばかりかかりますし、まとめて売り払うにも買い取りオーダーの値段になってしまうので、かなり安くなります。

そこでそういうものをまとめて再処理プラントに放り込んだところ、売り払うよりもよほど高い効率で資源が回収できそうだったのでそうしています。まだ再処理のスキルが育っていなくてもそんな感じです。ただし、推定価格が高くなるほど、値段を付けて売る方が効率が良くなる感じです。推定価格が1万~10万くらいの装備品になると、再処理は自動販売より効率は良い感じですが、手動販売よりは効率が悪い感じです。(あくまでも大まかな印象)

お金持ちになってくるとそこまで考えなくてもまとめて売るなり再処理するなりでいいと思いますが、貧乏なうちは色々と考えてしまいますね。


「うわぁ」
さすがにワタシの口からも絶望の声が漏れる。確か今マーケットに出している生産品が売れたら20M位にはなるはずだし、Depleted Uranium M(劣化ウラン弾M)やScourge Cruise Missile(スコージクルーズミサイル)が生産ラインに載っているはずだから順調にいけば取り返せはするはずだけど……。

なおみん博士もため息をつきつつさらに言葉を続ける。
「うちで造ってるライトミサイルとかの相場が、ちょっと下がり気味みたいなのよね……かと言ってうちみたいな零細はあんまり値段も下げられないしね」

なるほど、まあ相場は動くものだから仕方はないけれど、創業早々赤字価格で売るわけにもいかないしなぁ。ワタシはとにかく今、順調に稼げているし、帰ったらそれなりの軍資金になることをなおみんに伝え、通信を切ろうとするが、彼女は疑わしそうな声でワタシに問いかける。

「アンタさ、稼いでるのは良いけど、どこにいんのよ? 無事に帰ってこれるんでしょうね? 」

女の勘はコワい。まさか今からヌルセクに突入するとは言えず、適当に愛想笑いしつつなだめすかして通信を切った。とりあえず、最低限昨日稼いだ分だけは死んでも持って帰らなくては……。手ぶらで帰ったら事業もヤバいが命もヤバい。ワタシは身震いしながら出発の準備を始めたのだ。

しかし準備をしながら、ワタシは考える。ジンクスというものを。

ワームホールで駆け出しの洗礼を受け、撃沈。
ローセクでも同じく洗礼を受け、轟沈。
ヌルセクでも、二度あることは……。

いやいやいやいや! 今回は結構慎重にやってる……はず……だよね?

こうしてなんとなく不吉な予感を覚えつつ、ワタシのミステリーツアー二日目はスタートしたのだった。

Baprayaを出発し、いくつかの星系をジャンプし、とうとうヌルセクの手前である星系「Hophib」に到着。ヌルセクにはほとんど停泊できるステーションがないと聞く。万が一のことを考え、星系内のステーションに立ち寄り、昨日の成果を預け、とうとうヌルセクに侵入すべくジャンプゲートへ向かったのだ。

Hophib星系 Civic Court Low School
Hophib星系 Civic Court Law School

侵入したヌルセク宙域はD4KU-5。広大なヌルセクリージョンFountainの入り口とも言える星系だ。幸い待ち伏せもないようだ……。ワタシは早速探検を開始する。

注意深くローカルチャットを確認しつつ、星系を移動し、どんどんサイトを攻略してゆく。やはりこのあたりは住民や旅行者が少ないようで、ヌルセクといえども比較的安全に探検は進むようだ。

そして五つほどの星系を攻略し、ワタシはそろそろ帰途につこうかと考える。
いかに今までが安全だったからといっても、ヌルセク地帯にあまり深入りするのは得策ではないと、知識がないながらにそう思ったのだ。そこで元来たルートを戻りつつ、最後にもうひとつ星系を探検してみようと思い立つ。

そしてやってきたのが、侵入したD4UKU-5からわずか2ジャンプのところにあるYRNJ-8。行き止まりの星系で、通行人も少ないだろうと予想。実際到着してみるとローカルにはワタシの他にふたり表示されている。

まあ、今までも数人のカプセラがいる星系での探検はしてきた。もちろんDスキャンは回して警戒しながらならばそう問題はないだろう。今までの順調な道のりゆえにワタシの警戒心はこのときわずかながら緩んでしまっていたのだった。

早速スキャンを開始する。

……おお、ここに来てデータサイト三つの大当たり。

そう。大当たりだったのだ。

大当たりに見えたのだ。その時は

ワタシは今までと同じようにサイトに向かいハッキングを開始する。一気に三つのデータサイトを回って、そしてJitaへ帰還する。気が急くワタシはハッキングパネルに集中しすぎてしまったようだ。……Dスキャンに現れた自分のものではないプローブを見落としてしまうくらいに。

ハッキングをひとつ完了し、顔を上げたときにはすでに敵影が目前に。なすすべなくImicusを破壊され、次の瞬間ワタシの体は宇宙空間に投げ出され、そして意識は途絶えた。

お宝と共に散る
お宝と共に散る

気がつくと、ワタシはJitaにいた。

墜とされたときの感覚がまだ身体に残っている。しばらくそのまま立ち尽くしていたが、やがて我に返った。

「取りに行かなくちゃ……」

そう、ヌルセクに潜入する前にHophibのステーションにそれまでの戦利品を預けている。図らずも出発したJitaの地に戻ってしまったが、これはまだミステリーツアーの旅路の途中。今回の旅はなおみん博士に戦利品とブループリントを届けるまで終わらないのだ。

ワタシはJitaのどこかにいるであろうなおみん博士に見つからないようにドックへ向かい、新たにImicusを購入し、Fitを組み上げ、そしてすぐさま出発した。

再び宇宙空間に飛び出したワタシだが、どうにも心が落ち着かない。もちろんもう少しというところで墜とされたことはショックだったけれど、それはある意味この世界で生きていく上で避けられないこと。今、ワタシの心をざわつかせているのは、墜とされる前に確かに視界に入っていたDスキャンのスクリーンだった。その時はなにげにスルーしてしまっていたけれど、確かにそこには誰かのプローブが映っていたことが鮮明に脳裏によみがえった。


先ほど書いたとおり、星系内には私以外の人が存在していました。そこでプローブが展開されていたということは、誰かが自分が探検しているサイトに来ることはある意味必然ですね。あとで思えば本当に当たり前のことなのですが、やはりそれまでの順調さと自分の経験不足が油断を生んでしまったということです。

Dスキャンの必要性を……勉強してしまいました。


なぜあそこで瞬時に撤退しなかったのか! 運ではなく、明らかに自分自身のミス。その情けなさに煩悶しつつ再びワームホールを探し始めます。やはり明らかに平静を失っているのか、なかなかスキャンに成功しない。イライラしながら何度もスキャンを繰り返し、ようやく見つけたワームホールをくぐり、未知の宙域へ。またワームホール空間を渡り歩きながら出口を探そう。


これもあとで思うと、変な行動でした。旅に出発したときと違って行き先ははっきりしていたのですから、地道に通常航路をひた走れば良かったように思います。


そう思ったものの、今の自分の状態ではスキャンの効率がどうしても上がらない、なんとか見つけた次のワームホールもさらなる未知の領域へつながるのみ。次第に焦りが募るのがわかる。五つほど未知の空間をくぐり抜けた果てにようやく見つけたのはヌルセク行きのワームホールだった。とにかく早くこのワームホール空間空間から脱出したい、そんな気持ちになっていたワタシは一も二もなく飛び込んだのだ。

これが地獄への門だとも知らずにね。

地獄への門が開く

そして出てきたのは不気味に静まりかえった空間。
地図を開く。そして襲ってくるのは絶望にも似た感情だった。

KU3-BB……? さっきのFoutainを普通の地図になぞらえて西の果てというのなら、このKU3-BBは南の果て。身体の力が抜けそうになるのを我慢しながら、目的地を「Hophib」にセットすると、その距離実に37ジャンプ。Jitaから通常航路を走るのと大して変わらない。この航路は危険だ……黄泉への道だと心の声が警鐘を鳴らす。

でももう引き返せないという思いに駆られていたワタシは、そのヌルセクの南の果てから西の果てまでひたすらヌルセクを走り続けるというとんでもない黄泉路に船を進めてしまったのだ。

黄泉路
黄泉路

これも気持ちに余裕があったら、もう一度ワームホール空間に戻って他の出口を探したことでしょう。でもいろいろな後悔で気持ちが疲弊していたことと、まだヌルセクの実情をまったく知らないということから無謀に船を走らせてしまったのでした。


大丈夫……さっきは油断して墜とされたとは言え、一応ヌルセクを探検していたんだから。そうやって自分自身を鼓舞しながら突き進みます。でもそんなワタシはわかっていなかったのだ。
大手アライアンスが支配するこの領域をひたすら突っ切ることがいかに危険なのかを。

現在地のParagon SoulリージョンからPeriod Basisリージョン、そしてDelveリージョン、Foutainリージョンとひたすら誰かの領土内。ヌルセク入り口あたりのいくつかの星系でこっそり探検するのとは違う。

とことん領空侵犯しつつ無我夢中で突っ走るワタシだけど、世の中は、そしてこのNew Edenを生き抜いて領土を勝ち取ってきた猛者たちは甘くない。

Paragon Soulリージョンの果てでゲートを抜けたワタシは艦の様子がおかしいことに気づく。何か白い泡のようなものに包まれている!? う……動けない!?

初バブル

それがバブル(範囲型ワープ妨害)だということに気づいた(初体験なので気づいたというより推測した)ときには周囲に潜んでいた数隻の船によってあっという間に沈められてしまったのだ。

カプセル状態になったワタシはとにかくバブルの中を無我夢中で前進する。その必死さに感心したのかあきれたのか、やがてバブルは消え、追撃も途絶えた。バブルが消えたのか消してくれたのかはわからないものの、どちらにしても見逃してもらえたらしい。礼の一つでも言うべきだったかとあとになれば思うもののとにかく夢中である。すぐさま次の地点へのワープを行い、さらに突き進み、Period Basisリージョンへ。

大ヌルセクひとりぼっち

もう後には引けない、などという格好の良いものではなく、単に他の選択肢がない。もはや放心状態で、それでも前に進む、進む。

そして、カプセルは孤独に走り続け、Delveリージョンへ……と、やはりここでもバブルが待っていた。そしてなすすべなく。

悲惨
悲惨

またもやワタシはJitaで目覚めた。

さすがにもうワタシの精神は疲れ切っていた……が、クローン技術によってJitaで目覚めたワタシの身体は残念ながら元気満々なのだ。

しばらく考える。

はじめの撃墜はあまりにお粗末な油断が原因だった。
それで気持ちが混乱してしまい、行き先が決まっているのに無茶にワームホールを使ったこと、そしてヌルセクの奥地に出てしまったにもかかわらずそのまま進んでしまったことが原因で墜ちてしまった。まったくもって駆け出し者の無謀さゆえ。しかし、今回はなぜか心は落ち着いていた。いや、むしろ高揚していたというべきか。

なんと言っても、カプセラたちが支配するヌルセク領域に初めて入ったのだ。そしてバブルに二度やられたものの、今地図を見返してみるとその場所はそれぞれアライアンスが支配する領土の境。一見するとこんなところに本当に人がいるのか? と思ってしまいそうなNewEdenの果てに確かに彼らは存在していて、日々領土を守って戦っているということをこの身でもって経験したのだ。

これは、大きな経験値ですよっ!!

そしてワタシはみたび、Jitaというミステリーツアー中継地点を発つ準備を始める。

さっきも言ったけど。

お宝どもを持ち帰るまではこの旅は終わらないのだ。

今度は慎重に、通常航路を通るルートを選定する。実に42ジャンプ。しかも行き先のHophibは西の果てで数多くのローセクを通るしかない。しかし、初日の探検でそのあたりは人がまばらだと言うことを経験していたので、あえてそのルートを使うことを決定した。

もちろんルート上の戦闘記録を集めることも忘れない。

1日単位での撃墜記録は見つかるものの、直近のゲートキャンプによる犠牲は確認できない。ならばImicusの脚ならば恐らくなんとかなる。

今度こそこのミステリーツアーを終わらせる。だってそろそろお宝持って帰らないと製造業がストップしてしまうからね!

こんなヒドイ旅路なのに、妙に意気揚々と宇宙庶民ふりっぷは往くのである!

42ジャンプ何するものぞ

そして42ジャンプの旅が始まった。ほとんど何も積んでいない状態だからそれなりに気は楽だけど、帰りのことも考えてそれぞれの星系内の状況をしっかり把握しながら進む。

旅は順調に。しかし目的のHophibがあるAridiaリージョンに入ると残りの約20ジャンプはほぼローセクだ。人口は少ないはずだけれどとにかく慎重に。

Hophibまで20ジャンプ

その後も順調に進み、Hophibから5ジャンプのところにあるハイセク星系「Zaveral」に到着すると、ワタシはあらかじめ考えていた作戦を実行に移す。といっても、帰りのワームホールを探すというだけ。「またどこに飛ばされるかわかったもんじゃないよ?」そんな声が聞こえてきそうだけど、これでも一応考えてる。

ここからHophibまでの間、ワームホールを探しながら進み、ハイセクorローセク行きのワームホールがあったら一度くぐって行き先を確認、Jitaに戻るのに好都合な穴があったら位置を保存しておこうというもの。なんと言っても今いる地域はかなりの外れ。ヌルセク地域を除けばJitaからは最も遠い地域のひとつだろう。ならばローorハイ行きの穴なら結構な高確率でよりJitaに戻りやすい場所に出るはず。

もちろん今度は冷静に割り切っている。ハイorロー行きの穴がHophibまでの間で見つからなければ、来た道を戻るつもりだ。今安全を確認しながらここまで来たのだから、すぐに帰れば安全に帰れる確率も高くなるだろうという算段。

何というか、商都近郊でセキュリティミッションばかりこなしていたときには、まさか移動手段、ルートをこれほど考えるようになるとは想像もしていなかった。やはりせっかく広大な宇宙で冒険しているのだから、こういうのも悪くないな。そんなことを考えつつ、ワタシはワームホール探しを始めたのだ。

未知の宙域行き
未知の宙域になんて興味はない!

しかし、なかなか見つからない。ワームホール自体があまりなく、見つかったと思ったら未知の宙域行き。そんなこんなで結局Hophibにたどり着いてしまった。地図を開くとヌルセク突入前に戦利品を預けたCivic Court Law Schoolが目につく。ほんの数日前のことだったがなぜか感慨深い。今すぐにでも入港したい気持ちを抑えワタシはこの宙域のシグネチャのスキャンを開始する。

結構な数のシグネチャがある。ワタシは根気よくスキャンを続け、ようやく一つのワームホールを見つけた。

ワームホール発見
さあ、このワームホールの行き先は?

さっそく見つけたワームホールへ向かって艦を走らせる。そして目前に現れたワームホールの情報を読み取ると……念願のローセク行き! まだ消えるまでの余裕もありそうだ。

天国(ローセク)への扉

恐る恐るワームホールをくぐる。そして祈る気持ちで地図を開く。……ここは。

The CitadelリージョンのUura。おお? 近くにJitaが見える!! これで帰り道を確保だ!

作戦が見事的中しとことに歓喜しつつ、それでも最後の詰めを誤らないよう極力冷静にワタシは一旦Hophibに戻ります。そしてお宝を預けている Civic Court Law School へ向かったのだ。

帰ってきたよ、Law School

入港し、アイテムハンガーを開く。

空っぽ。

……え?

しっかり取り乱しつつワタシは資産目録を開く。ワタシのお宝はどこに!?

星系内にふたつのLaw Schoolはいらん
だまされた

そこには二つのLaw Schoolの文字が。

こんな過疎星系にふたつもLaw School絶対イランやろ!!! 作るにしてもちょっとは名前変えんかい!!! ついつい太古の地球で世界を席巻したらしいツッコミ言語である関西弁を駆使してしまうくらい猛烈にツッコみつつ、ワタシはもう一つのLaw Schoolへ向かうのだ。

ついに、ワタシは今回のミステリーツアーの成果を再び手にしたのだ。

ワタシ、がんばったよ?

うん、がんばったよ。ワタシ。


装備品のプローブとかが入ってますが、それを抜いてもブループリントの分を合わせると80M位にはなりそうです。結局Imicusが二隻沈んだのですが、それを引いても50M程度の儲けはあります。そう考えると探検はやはり初心者の金策にむいていると言えそうですね。……いろんな経験もできるしね。


Imicusのカーゴに荷物を移し、出発の時を迎える。

「さあ、帰ろう」

そのつぶやきに応えるようにImicusは動き出す。

発進

そしてさっき見つけておいたワームホールへ向かう。

ワタシをJita近郊に運んでくれるこの穴は、まさに天国への扉。

そんなことを思いながらワタシはその穴に飛び込んだのだ。

天国への扉にダイブ

Uura。Jitaからわずか10ジャンプの……しかしローセクだ。ただ、ここと次の星系のみがローセクであとはハイセク。ここまで来ての失敗は100%許されない。妙に冷静になっていたワタシはここでもゲートキャンプ情報をリサーチする。

ゲートキャンプ、オールグリーン
オールグリーンよ

オールグリーンであることを確認し、ついに最後の10ジャンプの旅路へ。

Uura-Jita航路
ミステリーツアー最終章

ミステリーツアーなんて気軽なネーミングで出発したこの旅は、駆け出しのワタシにとっては試練の連続だった。それでも終わりが近づくと名残惜しく感じる。それはやはり自分にとって得るものが多かったという証しだろう。

10ジャンプはあっという間だ。そんなことを考えているうちに、もう最後のジャンプだ。

Jitaへ
Jitaへ……

見慣れた星系に戻ってきた。最近の二回は身体ひとつで戻ってきてしまったが、今度は違う。製造業の軍資金を持っての堂々たる凱旋だ。ワタシはワープドライブを起動する。

そしてワープによる激しい振動が収まった時、ワタシの目の前には見慣れたステーション。Jita4-4だ。

Jitaよ、ワタシは帰ってきた

入港するとワタシはなおみん博士が待つラボへ。

「おっ! おかえりぃ!」
元気な声が響く。

「ああ、ただいま……ほら、軍資金とブループリント」
ワタシは戦利品の明細と手土産のブループリントを手渡す。

「おおおー! スゴイじゃん。えらく長くかかっただけのことはあるわね」
素直に喜んだなおみんだったけど、ふと首をかしげる。

「でもさ……長いこと探検してた割に、アンタえらくこざっぱりしてない?」

ワタシはさも当然そうに答えるのだ。
「そりゃそうだよ。着替えたからね……じゃあちょっと休ませてもらうよ」

「お……おぅ。まあとりあえず、おつかれさま」
どこか納得しきれないなおみん博士を残してワタシは部屋をあとにした。続きの言葉は心の中でつぶやくだけにしておいた。

「着替えたんだよ、二回も……それも身体ごとね」

つぶやきのなかなかのシュールさにワタシの顔には苦笑いが、とてもすっきりとした苦笑いが浮かんだ。

こうして宇宙庶民ふりっぷのミステリーツアーは幕を下ろしたのだった。

おしまい。

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