はじめに
どうもこんにちは。
納車7ヶ月&走行1万㎞突破記念再レビュー最終回です。
CX-3 走行1万㎞突破記念再レビュー記事一覧
- 其の壱 - エクステリア&インテリア
- 其の弐 - 装備類と機能性
- 其の参 - ドライビング ← イマココ
今回のテーマは「ドライビング」ということで、素人に何がわかるんだ……とワタシが一番思ってます。
でも、この7ヶ月、運転歴としてはベテランの域に入るにもかかわらず、一からiDM先生の教えを請いながら自分の運転を見直しつつ、CX-3の運転性能に注目し続けて参りましたので、まあ好きに語らせてやってくださいませ。
今回の企画は納車後しばらくして書いたレビュー記事を基本にそこから変わった点、より一層強く感じるようになった点に絞って書いてきましたが、ドライビングについては総合的に書いた方がわかりやすいかと思いますので、以下のリンク先の記事を先に読んでいただいた上で、1万㎞走った今、どのように感じているのかという観点でご覧いただけると良いかと思います。
2023年版 MAZDA CX-3 レビュー【各論・走りと乗り心地編】 – SIDE_FLIP blog (flip365.net)
それではいってみましょう。
総論
1万㎞走った今、強く感じるのは「クセを掴めば掴むほど楽しくなる」ということでしょうか。
もちろんこれは、スポーツカータイプのクルマや、MT車などでも言えることで、CX-3ならでは……と言うのはおかしいことだと思います。
ただ、コンパクトカー寄りのファミリー・タウンユースのクルマというものが、実用性重視になるあまり、何もかもスムーズだけど個性がないという方向に行っているように感じられる中、このCX-3はとてもクセがあります。もちろん良い意味で。
そのクセをしっかり理解して操り方を考え、実践してゆくことで、アクセル、ブレーキング、ハンドリング、どれをとっても乗り始めの頃に比べて、明確に「意のままに」操れている感を得ることができています。色々なB~Cセグメントあたりのタウンユースのクルマを運転していても感じたことがない感覚ですし、なんと言ってもワタシのようなド素人でもそういう感覚を得られるということがとてもスゴいことだと思います。もっとも、乗り始めの時は運転しにくいというわけではなく、気軽に運転できるクルマですが、乗れば乗るほどに味が出てくるといった感じでしょうか。
でも、ロードスターのように特にスポーツカー寄りに作られているわけでもないのに、なぜそんな感覚が得られるのか? 以下、素人なりにちょっと細分化して分析してみました。
エンジンまわり(ガソリン車)
パワーは控えめ?
CX-3ガソリン車は1.5Lで、MAZDA2と同等です。納車前からそれほど期待はしていませんでしたが、スタート時や低速域からの加速はやはりマイルドな感じですね。いわゆる前にぐっと引っ張られるような、Gを感じるような加速感は普通の運転をしている分にはあまり感じられません。パワーがないとは思いませんが、トルクのピークが下記の通り4,000回転あたりということですので、やはり低回転域は強くないということなのでしょう。
トルクのカタログ数値を見てみましょう。CX-3のガソリン車のトルクは144Nm/4000rpmらしいです。うん、とりあえず4,000回転あたりが最もトルクが出るということみたいですが、144NMというのがどの程度なのかわかりません。
そこでちょっとだけ他車比較してみましょう。
まずはCX-3のディーゼル車は……270Nm/1,600-2,600rpm
ふむふむ、数値も高くピークの回転域も低いということはアクセルを踏んだとき、エンジンをそれほど回さなくてもしっかり加速してくれる感じですね。さすがはトルクが素晴らしいと言われているSkyactiv-Dですね。
ただ、これはそもそもガソリン車とディーゼル車の根本的な違いでもありますので、同程度の車格のこのクルマのガソリン車と比較してみましょう。
トヨタ ヤリスクロス(ガソリン車)の場合……145Nm/4,800-5,200rpm
最大トルク自体はほぼ同じですね。
こうして見ると、ピークの回転数は多少違いますが、停止・低速からの加速という意味ではそれほど平均値以下ということもなさそうです。天下のヤリスクロスさまと同等ならそれほど悪くないんじゃないの? という素人的判断です。(重量はCX-3の方が2WDだと50kgほど重いですけど)
しかし、数値はともかく実際に運転していてパワー不足を感じるということは、運転の楽しさが損なわれるのでは……と思えそうですよね。でも全くそんなことないのが我らがCX-3です。
スムーズな加速
どっちやねん……と言われそうですが、これがここ半年で大きく印象が変わったところなのです。
絶対的なパワーは前項で書いたとおり少々控えめかなと思います。ところがこのCX-3、アクセルと変速のクセを体得すると、実にスムーズで気持ちよい加速を味あわせてくれるのです。表現がとても難しいのですが、アクセルの踏込みが適切なら、ムダに踏み足さなくても回転数のアップとギアチェンジのタイミングが実に綺麗にシンクロしてスムーズに回転が上がり、加速してゆくのです。
しかもこれは特定の加速量だけではなく、徐々に加速するときも、ある程度急な加速をするときも、それぞれに応じて最適なアクセルの踏込み量がありますので、ドライブ中のさまざまな場面でこの感覚を得ることが出来ます。
これが……とても……キモチイイんです!
どちらにしても爆発的な加速力はないのですが、最少の操作で最良のパフォーマンスを引き出しているという感覚でクセになります。またオルガンペダルがその繊細な操作に実にふさわしい。ワタシは元々ゆっくり走るタイプで、スタート時もゆったりしたものだったのですが、この感覚を覚えてからは、軽い踏込みでスムーズに加速してゆく快感を求めるようになってしまいました。
このような感覚はおそらくマツダ車全般に言えることでCX-3に限ったことではないと思うのですが、エンジンのスムーズな吹けあがり、ギア比やATのコントロールなど、さまざまな調整の賜物なのだろうと思います。まさに「走る楽しさ」を追及するマツダの真骨頂。単に運転がカンタンということではなく、クルマを知れば知るほど、より手足のように操ることが出来るようになる。ステキですね。
なお、散々「パワーは控えめ」と書きましたが、あくまでも停車時もしくは低速からの加速の話であって、中速域以上での加速は全く問題ありません。高速への合流や追い越しなども実にスムーズですし、100㎞オーバーでもエンジン的にしんどい感じは皆無ですのでご安心を。
ブレーキング
思ったよりクセがあるブレーキング
クセがあると書くと、ネガティブな感じがいたしますがそういうわけでもありません。ブレーキペダルを踏込む量と利きの関係がまっすぐな比例グラフになっていないということです。ですから慣れるまでは、思った通りの減速にならずに踏み足したり緩めたりすることが多かったように思います。
ところがアクセルと同じく、こちらもそのクセを掴んでしまえば、わずかな踏み方の違いでマイルドな減速とクイックなブレーキングを使い分けることができ、とても快適です。もちろん前後ディスクブレーキですし、基本的なブレーキ性能は高いですから大雑把な操作でも全く問題はないのですが、車のクセを掴むことでワタシのような素人でも明らかに「意のままに操っている感」を感じることが出来るようになります。
なお、この「クセ」についてはブレーキ自体のクセだけではなく、ブレーキングに合わせてダウンしていくATのギアのクセも把握できるとなお気持ちの良い減速感(?)を味わうことができるでしょう。もちろんマニュアルモードで自分でギアダウンさせながら、ブレーキの踏込みとシンクロさせるのも実に楽しいです。
ちなみに1万㎞を走るうちには、何度か急なブレーキ操作(緊急というほどヤバい感じではありません)が必要になる場面がありましたが、今まで他の車に乗っていた感覚と比べて拍子抜けと言ってもいいくらいスムーズかつクイックに止まることが出来たということも付け加えておきます。
やっぱり高い、ブレーキペダルの位置
当初から触れていたことですが、ブレーキペダルの位置はやはりワタシには少し高すぎる感じは否めません。これだけの距離を走ってなおそう感じるということは、慣れの問題と言うことできないのかなと思います。詳しくは以下のリンク(記事中の該当部分に飛びます)からご覧ください。
2023年版 MAZDA CX-3 レビュー【各論・走りと乗り心地編】 – SIDE_FLIP blog (flip365.net)
確かに踏み間違え防止には効果はあると思うのですが、オルガンペダルとの位置関係がベストではないように感じてしまいますねぇ。調整できれば良いのですが。まあ、慣れたと言えば慣れましたので、普段の運転に支障は全くありませんが、長距離を走るとすねの筋肉(つま先を上げるときに使う前側の筋肉)が結構疲れてしまいます。
ハンドリング(直進性能)
こちらは特に印象は変わらず。1万㎞の内訳としてけっこうな割合が高速道路だったりいたしますが、100㎞オーバーでも、風がある日でも特に左右にぶれる感じはなく、このサイズ感の車(B~Cセグメント)としてはとても優れた直進性能だと感じます。
ハンドリング(コーナリング)
思ったよりドライバーの腕で差が出る
当初からコーナリングでの安定性の素晴らしさを感じており、このサイトにも書かせていただいておりました。GVCの賜物なのかワタシには判別できませんが、外側に振られにくく高い接地感に安心してコーナリングを楽しむことができています。
ただ、そんな中でもそれなりの距離を走るにつれて強く感じるようになったのは、コーナリングの上手さでかなり安定感が変わるな、ということです。特に慣れていない見通しの良くない山道だと、曲がり量もわからないし対向車もコワいしで微妙にハンドルを切るタイミングが遅れしまいがちですが、そうすると結構外に振られます。もちろん標準よりも悪いということではなく、ようやく普通かなというレベルですが。
それが、同じコーナリングでも道を覚えてしまって適切なタイミングと角度でハンドルを切ってやると、ワタシ程度でも明らかに「上手くいった!」と感じるくらいに安定したコーナリングに様変わりするのです。
腕前で差が出るというのは、ハンドリングの上手さが求められるということもありますが、結局のところコーナリングはハンドリング・ブレーキング・アクセル操作のすべてが組み合わさって成り立つものですから当然なのでしょうね。元々ドライビングテクニックにこだわっている方なら当たり前すぎることですが、ワタシなどは今までそんなことを意識したこともなかったので、新鮮な感じです。
ドライビングポジション
これはもう今まで何度も書いたことですが、素晴らしいのひと言なのでカンタンに。
骨盤を立たせるシート、自然な位置にあるオルガンペダル、リーズナブルな価格ながらチルト&テレスコ(高さ&前後)調整可能なハンドルと申し分ありません。
あえて言うなら、シートについては意識して深く腰掛けないと効果は半減してしまう感じがしますね。はじめからこだわらずに乗ってしまっていると、その良さを実感しないままになっているかも……?
他のクルマにも乗って比べてみた
ここまで細々と書いてきましたが、どの項目にも「クセを掴むと楽しくなる」的なことが含まれています。
でもそれってCX-3に限ったことじゃないんじゃない? と言われそうですし、ワタシもそう思います。ただ、最近乗った経験のあるクルマと比べると明らかに運転していて楽しいのですから仕方ありません。
今回この記事を書くにあたって、あらためて3台のコンパクトカーに乗って試してみました。もちろんCX-3に乗るときと同じようなこだわりを持って臨みました。メーカーはトヨタ・ホンダ・日産で、どれも人気のあるハイブリッドカーです。(○クア、○ィット、○ート)
どのクルマも加速もパワーも申し分なく、そういう点で特にCX-3が優れているとは思いません。乗りやすさもさすが人気車だけあって「クセなく」気軽に乗ることができる感じです。……そう、やっぱりクセがないんですよ。
アクセルもブレーキも平坦で、単に踏めば走る、止まると言った感じ。バイクで言うとスクーターです。とっても簡単だけど味もない。やはり変速があるというのが一番の要因だと思いますが、今回試してみて改めて感じたことがあります。CX-3はオルガンペダルのアクセルを通じてとても繊細かつなめらかにエンジンを操ることができるということです。試したクルマに比べて明らかに細かいアクセルワークに対してしっかり反応してくれます。
当初はCX-3の運転の楽しさはAT(変速がある)だからこそということばかりに目が行っていましたが、このアクセルワークに対するエンジンの応答性の高さも大きな要因なのではないか、ということを最近特に強く感じるようになってきております。
そして、コーナリングにおいては、どのクルマもそりゃ良く曲がります。曲がらなかったらエラいことですw。ただ、CX-3で感じるような上手くいったときの「明らかに異なる感」を感じることはありませんでした。これは攻めた走りをすればどんなクルマに乗っていても「明らかに異なる」ものだと思いますが、ワタシのような素人が山道を軽く流して走っている程度でも明確に感じることができるのがCX-3ということです。(今のコーナリング、決まったぜ! と感じた時にiDMのランプを見ると、ほぼ間違いなくお褒めの青ランプが点灯していますw)
ドライビングポジションなどについては、やはり3台ともにリラックスした姿勢を取ることに重点が置かれているようで、CX-3と同じようなしっかり腰が据わった安定感はありません。一見するとCX-3のような身体をサポートするような形になっている物もあったのですが、なぜか骨盤が立って(背筋が伸びて)腰が入った感覚は得られませんでした。もちろんその分だらけた姿勢で違和感なく運転できそうで、リビング的なくつろぎ感を求めているのかな? とも感じました。(でも結局、リビング的シートの方が腰が曲がっているから疲れるんですけどねw)
その点CX-3はだらけた姿勢になるとかえって違和感があり、グッと快適度が落ちてしまいますから、どちらのタイプを求めるかは人それぞれなのかもしれませんね。
しっかり運転を楽しむならCX-3、ひたすらリラックスを求めるなら普通のクルマということになりそうです。
余談ですが、ミニバンとかで身体を斜に構えて右手でハンドルを持って、左肩をダラッと下げて運転している人をよく見かけますね。だらだら運転のお手本のような感じですが、CX-3ではそんな姿勢で運転しても違和感しか感じません。良くも悪くも常にしっかり運転と向き合う姿勢にフィットするクルマなのです。
まとめ
なんせ知識がないもので、かなり適当なことを書いてきましたが、知識がない分正直な感想にはなっていると思います。
クセのあるクルマを意のままに乗りこなす快感を普通のドライバーでも感じることができる。
すべてはここに集約されるような気がしますね。集約しすぎかもしれませんが。
運転にこだわればこだわるほどにより面白くなるクルマだと思います。裏を返せば、何も考えずに楽に運転したい人には必ずしも向いているとは言えないのかもしれませんね。今後主流になってくるであろうEVでは、変速の必要もないらしいですし、クルマが勝手にやっておくからドライバーは何も考えずに気楽に乗っててね! と言わんばかりの風潮と合わせると、主体的にクルマを操るという運転の楽しさはどんどんなくなっていきそうで残念です。
CX-3の専売特許ではないことは重々承知ですが、CX-3は近場の用事からロングドライブまで可不足なくこなせる幅の広さを持ちながら、運転自体をしっかり楽しめるスポーティさも兼ね備えています。大きすぎないから住宅街もラクラクで峠を走っても楽しいし、小さすぎないから高速も安心です。
年が明けたら商品改良されたCX-3の発売目前です!
新世代マツコネ以外はそれほど大きな改良ではありませんが、これを弾みにさらに売れて、多くの人にCX-3の走りを楽しんでいただきたいと思います。
それでは以上で、走行1万㎞突破記念再レビューは終わりたいと思いますが、この記事に四苦八苦しているうちに、他に書きたいネタも増えてきたのでまた早めに更新しようと思います。
それではまた。
3 thoughts on “CX-3 走行1万㎞突破記念再レビュー 其の参 - ドライビング”