宇宙庶民ふりっぷとなおみん博士は額を寄せてなにかをのぞき込んでいる。
製造業の帳簿だ。
製造業立ち上げから約二週間。
なおみん博士はブループリント研究に、生産にとフル回転。ふりっぷも色々大変な経験を経ながらも、初期投資の資金稼ぎをがんばっている。正直なところスタートして二週間で何がわかるというわけでもないけれど、とりあえず儲かる方向に行っているのか、それとも製造業界の藻屑な方向に向かっているのかくらいは確認しておきたいのだ。
今まで生産ラインに乗った商品は……と。ワタシは帳簿のページをめくる。いや、正確に言うと表紙をめくっただけだ。その1ページ目にすべての品目が収まってしまっている。
| 商品名 | 総生産量 |
|---|---|
| Depleted Uranium M | 250,000 |
| Inferno Light Missile | 200,000 |
| Mjolnir Light Missile | 400,000 |
| Nova Light Missile | 350,000 |
| Scourge Cruise Missile | 150,000 |
| Scourge Light Missile | 300,000 |
| Small Capacitor Control Circuit I | 20 |
| Small Hyperspatial Velocity Optimizer I | 50 |
ワタシは腕を組みつつ渋い顔。まだこんなものか……そんな感想が表情に表れていたのだろう。なおみん博士は不満げに反論する。
「一応言っとくけど、これ全部ブループリントの資源効率・時間効率の研究も全部すませてから製造ラインに乗せてるんだからね！ その上で、たった二週間でこれだけ作ってるんだから良い感じじゃないのさ」
なるほど、言われてみれば確かにそうだ。実際、今も研究ライン、製造ライン共に全部埋まっているようだし。……なんと言っても資金難で研究済みのブループリントが買えないのはワタシのせいでもあることだしね。
「で、なおみん。売れ行きの方は？」ワタシは肝心なところに話を進める。
「……まあまあかな？」
はじめはなかなか売れなかったり、安くしすぎて儲けが少なすぎたりしたみたいだけど、どうやらある程度値段の付け方もわかってきたようだ。とは言え大きな利益率を見込んでいた某ウラニウム弾薬がなかなか売れなくて在庫がだぶついていたり、つくったは良いものの市場価格で売ると赤字になることが判明したため、マーケットに並ぶこともなく倉庫でひっそり眠り続ける某ミサイルがあったりとなかなか難しい。
そしてワタシは帳簿の推定利益の欄に目を移す。
推定利益というのは、材料をすべて購入したとして原価を計算し、商品が市場価格ですべて売れたと仮定しての利益額だ。もちろん諸経費も計算に入れている。
「どうよ！」
なおみん博士が胸を張る。
そこに記載された金額は、おおよそ50M。なるほど、なかなかイイ感じだねと彼女に合わせつつ、ワタシは決して口にするまいと心の中でそっと決意する。
ちまたでは時給が何百Mだとか言ってる人たちがたくさんいることを……。
まあとりあえずは儲かってる。零細業者は儲けを出すことが大変なんだから、ワタシたちはきっとちゃんとやれている。そう思っておくことにした。
さて、現在こんな感じですがどうなんでしょうかね？ 順調なのかダメなのかすらよくわからないのでマイペースに事業を拡大してゆきたいものです。
50Mの利益と書きましたが、これは作ったものがすべて売れたらの試算ですので、実際のところはまだその半分くらいです。ちなみにスタート時はライトミサイルから始めたのですが、そこから早々に高めの弾薬にシフトを進めています。
安くてどんどん消費される弾薬を作っておけば間違いないよね！ という初心者考えで始めたのですが、これってマーケットで売れやすいんじゃないかという発想から来ているのですね。それは決して間違いではなく、確かに売れます。でも決定的な問題がありました。
「儲からない」のです。いや、儲かっている気がしないというべきか。
例えば標準のライトミサイルである「Inferno Light Missile」を例にとります。上の表で20万発生産したとありますが、今のワタシの生産環境やスキルだとこれをすべて売っても約32万iskの儲けにしかなりません。確かに儲けが少ない分、材料も少ないし生産時間も短いので、200万発作ってやればそれなりには儲かる計算ですが、ぶっちゃけテンションが上がらない。
特に駆け出しの生産者なら生産ライン自体が少ないことが多いと思います。ワタシは今まだ5ラインしか動かせません。（スキル訓練中です）そのうちの4ラインをライトミサイルで占拠して何百万発も作り続けても面白いわけがない。
このような安い商品を大量に作って売ることを薄利多売と言うのだと思いますが、よく考えれば薄利多売って大企業にこそ向いていますよね？ やっぱり零細業者はちょっと高めの品を丁寧に作って売っていかなくては。手作りの温かみです。っていうか、初心者だからこそロマンを感じられる物作りをしなくては……飽きるのだ！（結構重要）
もっとも、高額品は材料費も高額で、スキル的にも色々制約があることもあって零細業者にはなかなか手がだせません。ムリして高い材料を購入するという方法もあるかと思いますが、日々作ったものを売りながら、そこで儲かったお金をつぎ込んで次の材料を買い付けるという、文字通りの自転車操業であるうちのような零細がそれをやるのは危険です。作ったのに（儲けが出る価格で）なかなか売れなかったり、材料運搬中に沈められたりといったことがあると、即操業停止に追い込まれるからです。
PLEXで資本増強とか、夢のないこと言わないでくださいね？ いや、それもアリなんだけどまずは自分の力で軌道に乗せたいのですよ。
だから現在は少しランクを上げて中型～大型の弾薬にシフトしていっています。あと、サイトを見てくださった方からのアドバイスで、リグ生産にも乗り出しました。リグの材料は今までのセキュリティミッションや探検での戦利品でそれなりの量があるので、材料買い付けを抑えつつ生産することができそうです。もちろん売却額などは原料をすべて買い付けた前提で計算しますが、現金を増やすには良い方法かもしれません。ブループリントもまだまだ買わないといけませんし、現金を増やすことも大切です。
こういう記事を書いていると、ベテランの方から見ると変なことを書いてるんだろうなぁと思うのですが、そんな間違ったことに気がついたらまたそれをネタにするというスタイルでやっていこうと思いますよ！
もし初心者の方がここにたどり着くことがあれば、ぜひワタシの「初心者の試行錯誤」を参考にしたりバカにしたりして、あなたも楽しく試行錯誤してくださることを願います。
えらくとりとめのない記事になりましたが、本日はここまで！
