どうもこんにちは。
今回は洛陽三十三所、締めの三十三番札所である清和院さんに参拝いたしました。京都の街角に何気なく建っているこじんまりとしたお寺さんで、雰囲気的には京都市内ではよくある小さなお寺という感じ。でも洛陽三十三所のお寺さんですから何かがあるはず! そんな期待を持って山門をくぐりました。
清和院ってこんなお寺さん
洛陽三十三所観音巡礼 第三十三番札所
清和院は、京都東山七条智積院を本山とする真言宗智山派の寺院であります。清和天皇が譲位後の後院が、仏心院を礎に清和院と改められました。現在京都御苑の東に清和院御門が残り、その歴史を留めています。清和天皇は、元慶四年(八八〇)に崩御されましたが、その子孫から後に武家の棟梁となる清和源氏が生まれました。清和院は江戸時代初めの御所大火で類焼し、その後現在の北野七本松一条の地に移されました。
ご本尊は等身玉眼入、極彩色の見事な地蔵菩薩立像[鎌倉時代・重文]であります。当巡礼の観音菩薩、通称『河崎観音[平安時代・重文]』は、一条鴨川西岸にあった感応寺内の「河崎観音堂」に奉安されていました三眼の聖観音菩薩で、一五三一年観音堂が焼失した後、河崎観音は清和院に移され後世に伝えられる事となりました。河崎観音は当時より、都の人々の信仰を集めた霊験あらたかな観音様でありました。現在は九州国立博物館に所蔵されております。清和院では河崎観音のお姿を偲び、往時の信仰の復興を発願しております。
清和院 - 洛陽三十三所観音霊場巡礼公式サイト
なるほど……場所は移転しているものの、清和源氏の祖である清和天皇ゆかりのお寺さんだったのですね。
正式名称
河崎山 清和院
宗派
真言宗智山派
御本尊
地蔵菩薩立像(鎌倉時代・重要文化財)
洛陽三十三所御本尊 : 聖観音菩薩立像(重要文化財・九州国立博物館蔵)
御詠歌
たヽたのめ すくひまします がんぜをん ちかいのあみに もれぬかわさき
札所本尊真言
おん ばさら たらま きりく そわか
詳しくはコチラ↓
ロケーション&CX-3的オススメ度
住所 : 京都市上京区七本松通一条上る一観音町428-1
(下の地図の33番です。拡大してご覧ください。左上のでインデックスが表示されます)
CX-3で訪問オススメ指数 : 50%
京都市のメインどころの鉄道であるJR、阪急、京阪、地下鉄の烏丸線と東西線などとは離れていますので、もっとオススメ度が高くても良いのですが、地図からわかるとおり、清和院の徒歩圏内にいくつかの札所が密集しており、北野天満宮もすぐ近所であること。そして京福電鉄の嵐電(らんでん)の駅が近いこともありますので、観光込みでしっかり楽しみたいなら電車もありかな? と思った次第です。
嵐電とは阪急電車の大宮駅と連絡する「四条大宮」から「嵐山」までをつなぐ路線、そしてその途中の「帷子ノ辻(かたびらのつじ)」から分岐して北野天満宮直近の「北野白梅町」までをつなぐ路線で構成されている電車ですが、部分的に路面電車になります。
ワタシもたまに乗りますし、クルマで市内走行中もしばしば併走することになります。実際路面区間は短いのですが、それ以外の区間も町並みの中を縫うようにして走って行きますので、なかなかの風情ですよ。
さらにこの路線は、終点の北野天満宮や嵐山はもとより、その途中駅も妙心寺、仁和寺、広隆寺、龍安寺、車折神社、そして太秦映画村などなど京都市右京寄りの観光名所の最寄り駅がてんこ盛りです。特に遠方からの観光の方で一気に多くの観光地を回りたい方には特にオススメですね。京都まで来るまで来られた方でも、クルマを駐めておいて嵐電で回っても良いんじゃないかと思うくらいです。
もちろん、清和院さんへの参拝だけを考えるなら、決してクルマの便が悪い場所ではありません。京都市の中心部からは多少外れていますからコインパーキングの駐車料金も良心的ですし、北野天満宮に近いことからコインパーキングの数もそれなりにあります。
あと、注意ですが、北野天満宮にも広めの参拝用駐車場がありますので、一緒に参拝してしまうならコチラに駐めるのも手かと思うところですが、現在一般車両の駐車は有料となっており一時間600円で、ぶっちゃけ近所のコインパーキングの方が安いです。元々は無料だったのですが、迷惑駐車が後を絶たないためやむなく有料にされたようです。
もうひとつの注意点は、毎月25日は「天神さんの日」して親しまれている縁日になっていますので、駐車場は混むと思います。清和院のすぐ近所にも小さめのコインパーキングがありますが、北野天満宮を目指して来る人の目には比較的とまりにくい場所だとは思いますけど。
訪問記
というわけでやって来たのは、いつもの如く絶賛お仕事中でございます。大津方面から洛西へ向かう途中、小一時間くらいの余裕があったので立ち寄ってみました。
北野天満宮のすぐ近く、花街で有名な上七軒の交差点から七本松通を少し南に下がった道路沿いに建っています。
お寺からほんの少し北にあるコインパーキングが空いていたので、ソウルレッドCX-3をそこに駐め、山門前へ。
もうちょっと引いた感じで撮影しようかと思ったんですけど、佐川さんがなぜか結構長いこと駐まっていたのでこんな感じになりました。
そして一礼して山門をくぐりますと目の前には御朱印受付を示す看板が。なるほど、敷地の奥にあるからわかりやすいように看板を出してくださっているのですね。というか、看板が無いと、無段でこの奥に入って良いのか迷ってしまう感じです。
しかしワタシは巡礼者! まずはお参りです。門をくぐってすぐの左手にお堂らしき建物があります……が、真っ先に目に付くのはこちら。
賓頭盧(びんずる)さまです。細かいことは省きますが、お釈迦様の弟子である十六羅漢の筆頭で病気を治す力があるといわれているお方なのですが、民にみだりに神通力を見せびらかしたり、酒を飲んだりでお釈迦様に怒られて涅槃に入ることを許されなかったとのこと。本堂の外に安置されているのはそのことから来ているようです。全身赤いのはもちろん酒のせい。ソウルレッド乗りとしては親近感を覚えます。
でも、そのおかげでもって、びんずるさんはなで仏として、衆生が病気平癒を願ってナデナデする親しみやすい信仰の対象になっているということです。これもお釈迦様の計らいなのかも……と言われたりします。
さて、そろそろちゃんと巡礼を。
びんずるさんの横にあるのは蔵のようなお堂のような建物です。
いや失礼。建物は蔵っぽい造りですが、扁額には「清和院」の寺号、そして賽銭箱もありますからお堂です。
数段の石段を上がって中を覗くと、所狭しと仏像が並んでいらっしゃいます。正面にはやたら威厳のあるお地蔵さんが。この日は急に参拝を思い立ったため事前知識が無かったのですが、あとで調べるとこれが重要文化財の地蔵菩薩さまだということがわかりました。
あえて正直に書きますけど、お寺の門構えからは重要文化財の仏さまがいらっしゃるようなお寺だとは感じていませんでした。もちろん失礼な誤解なのですが、やっぱり立派な仏像は立派なお寺、立派なお堂にいらっしゃるものだとなんとなく思ってしまっているものだなぁとあとで反省しましたので、あえて書いた次第です。
で、お堂の中を見回しますと正面の地蔵菩薩さまの他、左右の壁沿いに並んでいる仏像たちも……これ、なかなかのものに見えるのですが……。普段は参拝時には仏像の写真はあまり撮影しないのですが、ちょっと撮ってみました。(もちろん撮影禁止ではなかったと思います)
正面には地蔵菩薩、左には明王、不動明王、そしてなぜか大黒さんが並びます。右手にはお釈迦様に観音像、そして弘法大師の座像と思われるもの。
右手の仏像たちをもうちょっと仔細に眺めてみましょう。一番奥の弘法大師像は清和院が真言宗智山派で弘法大師が宗祖ですからなるほどです。
その隣、三体の仏像が並んでいるのは恐らく阿弥陀三尊像かな? 脇の二体が恐らく勢至菩薩と観音菩薩でしょうか。腰をかがめて手を合わせているのが恐らく勢至菩薩、同じく腰をかがめつつ蓮華を持っているのが観音菩薩。そして来迎印と呼ばれる印を結んでいるのが阿弥陀如来。もちろんワタシにそんな知識が元々あるわけはなく、色々調べた結果、奈良国立博物館の刺繍阿弥陀三尊来迎図の説明などが上記特徴に合致することを発見しただけです。間違っていたらゴメン。
ちなみにその他にも阿弥陀三尊像の特徴として「三体揃ってわずかに前に傾いている」というものがありました。これは「西方極楽浄土から飛雲に乗って来迎」する姿を表したものだそうですが、写真を拡大していただくと、この三体も前に傾いているのがわかると思います。
そしてあと一体、一番手前の仏像は、よくわからないけど頭上に顔がたくさんあるので十一面観音ですかね?
いやあ、仏像も興味を持って調べてみると色々面白いですね。でも、西国も洛陽も札所御本尊は秘仏だったり、よく見えなかったりでそういう意味では消化不良気味になったりもいたしますが、御本尊ではなくても立派な仏像を拝むことができればイイじゃないか、という精神で続けていこうと思います。
ああそうだった。
ちゃんと札所御本尊に参拝しなくっちゃ。どこかなどこかな?
事前知識を得る暇が無かったことは上に書きましたが、やはり巡礼ですから間違えなく札所御本尊の参拝をしなくてはなりません。そこで洛陽三十三所の公式サイトを開いてみてみると……札所御本尊は聖観音菩薩立像……ええ!? これも重要文化財なのか!! そして……えぇ? 「現在は九州国立博物館所蔵」……だと?
まあ、これはしかたありません。重要文化財は色々他の場所で所蔵されていたりすることはよくあることです。でも、きっと参拝用に代わりのお前立ち(身代わりの仏像みたいなもの)とかがあるはずだと思って、改めてお堂内を見回します。
いやぁ……実ははじめから堂内で異彩を放つモノがあったんですよね。ただ、御本尊を探すワタシの視線が「それ」を無意識のうちにスルーしてしまっていただけでね。
おおぅ……。コレだは、コレ。
なぜだろな~?
今まで参拝した中でも、秘仏だったり盗まれて今はなかったり、今回と同じように他の場所で展示されていたりということは何度もあったのですが……写真だとより一層拍子抜けしてしまうのはなぜだろな~?
コレが絵画だったり代わりの仏像だったらそうでもなかったと思うんですけど、やっぱり写真は文明臭がしすぎるのかな? ちょっと愕然としましたw はっはっはw
しかし、参拝で大切なのは信じる心、それが巡礼というものだ! と己を信じ込ませてきちんと参拝させていただきました。
なんか、前回の穴太寺の記事でも似たようなことを書いたような気がする。(現在盗まれて行方不明)
でも、この観音様、重要文化財だけあって、豊かな曲線で豊かな体躯。とてもステキな観音様です。以下のサイトから画像を見ることができます。ページ内「画像検索」で別カットの画像をさがす」のリンクから色んな角度からのショットも観ることができます。
さてと、お堂を出ますとその脇のスキマみたいなスペースに瓜形天満宮なる小さな神社があることに気がつきました。
通り沿いの塀と本堂の間にあるのは瓜形天満宮。スペースがなさ過ぎて狛犬も斬新な並びで迎えてくれます。ちょっとよくわかりません。
御朱印
最初に見かけた案内看板の表示に従って、奥に入りますとちゃんと受付らしき窓口があり、そちらで無事に御朱印をいただくことができました。一筆一筆とても丁寧に書いてくださったのが印象に残っています。
ちなみに、札所御本尊は元々感応寺というお寺にあったものということもあり、御朱印の寺号も「感応寺」となっています。
ありがとうございました。
さいごに
何度も書いてしまいますが、やっぱりお寺としてはとても小さくて、観光でどうこうというお寺ではないと思います。でも、仏像がとても見応えがあって、そのインパクトはなかなかのものでした。札所御本尊は写真ですが、それでもお寺の御本尊も重要文化財で、その他の仏像も見事なものでした。
ちなみに、清和院は三十三所を順番に回っていれば最後の札所になりますから、こちらで満願証を書いていただくこともできるようです。でも、ワタシは順番はガン無視ですので、まだまだこれからです。洛陽三十三所の公式サイトによると、多くの札所で満願証をいただくことができるようです。(詳細はこちら)
まあ、順番はこだわる必要なさそうですので、みなさんも気の向くまま巡礼を始めてみてはいかがでしょうか?
それはともかく清和院さんはそれほど歴史的に劇的なエピソードがあったわけでもなく、小さな境内ですし、記事を書き始める前は、短い記事になりそうだし楽だなと思っていたのですが、近くで拝見できる仏像さんたちがステキすぎてやたら長くなりました。
やはり寺社仏閣というものは、興味を持って眺めてみればどこもそれなりに面白いことが見つかるものです。
それではまた。