どうもこんにちは。
さて、昨年(2022年)はCX-3にとってのビッグニュースがありました。国内生産を終了し、タイとメキシコに移管し、国内分はタイからの逆輸入になるというものです。その頃のワタシはといえば、まだヴィッツを手放すことすら考えておらず、CX-3というクルマがあることすら知りませんでした。その後、2023年になってCX-3と出会い、購入することになるわけですが、購入時点でも自分が買った車がタイで作られるとは全く知りませんでした。まあ、CX-3を知ったその日に契約しましたので当然と言えば当然ですが。
でも、ディーラーさんで契約後にいただいた「納車までのご案内」というリーフレットには、本社工場・防府工場で生産していると書いてあるので、普通は国内生産だと思いますよねw(別に文句ではありません。CX-3専用のリーフレットではないし、そこまでは手が回ってなかっただけでしょう)
そんなわけで、ワタシがこの事に気付いたのは契約からだいぶん経ってからだったと思います。たぶんひと月以上は経っていたんじゃないでしょうか。
はじめは少しだけショックでした。
え……? MADE IN JAPANじゃないの?
海外工場でも同じメーカーだし品質レベルは同等だろうと、理屈ではわかっているのですが、やはり国産信仰というのでしょうか。特にマツダは「匠の技」みたいなことを結構前面に出していらっしゃるのでなおさら「海外でもその匠の技は大丈夫なんかね?」と思ったのが正直なところ。
しかし、無事に納車されてしばらくが経った今思うのはこれですね。
「タイ工場のみなさんありがとう!」
そんな今日この頃、あらためてこの一連の動きを冷静に考えてみると、ネガティブにばかりとらえるのは間違いかもしれないなと思うようになりました。でも、ネット上などではどうしても「CX-3終了か!?」みたいな考えにつなげているものも多いし、当時のワタシのように、素人がネガティブにとらえてしまうのも仕方ないかなと思う部分も多いので、ワタシなりの楽観的な考えを書こうと思います。
もちろん、ド素人の勝手な見方ですから正確性は一切保証いたしませんよ。おほほ。
伝統と信頼のタイ工場
このニュースでタイ工場と言われているのは正確には「AutoAlliance Thailand Co. Ltd.(オートアライアンス・タイランド)」というマツダとフォードの合弁工場です。
2020年には創立25周年を迎え、年間10万台以上のマツダ車を生産する重要拠点とのことです。以下、25周年にあたってのマツダのニュースリリース抜粋です。
マツダ株式会社(以下、マツダ)およびフォード・モーター・カンパニー(以下、フォード)のタイにおける生産拠点で合弁会社の「AutoAlliance (Thailand) Co. Ltd.」(オートアライアンス(タイランド):以下、AAT)は、2020年11月で創立25周年を迎えました。
AATは1995年11月に設立され、1998年7月にフォードおよびマツダのピックアップトラックの生産を始め、2007年7月には乗用車工場を完成させるなど、両社の強みとシナジー効果を生かしたクルマづくりを行っています。AATにおけるマツダ車の生産については、2006年2月にピックアップトラック「MAZDA BT-50」、2009年9月に「MAZDA2」、2011年2月に「MAZDA3」、2015年10月に「MAZDA CX-3」、2019年11月に「MAZDA CX-30」の量産を開始し、現在は年間10万台以上のマツダ車を生産しています。マツダではAATをビジネスとブランドを支える重要な生産拠点の一つとして位置づけています。
2020.11.27 タイの生産拠点「オートアライアンス(タイランド)」が創立25周年(マツダ公式ニュースリリース)
このように長年にわたってマツダ車を生産してきた信頼できる工場なのです。しかも見ての通り「MAZDA2」「MAZDA3」そして「CX-3」「CX-30」と、スモール商品群を軒並み生産しているとのことです。
「タイに移管」といっても「タイで作り始める」ワケではない
さらに文中にあるとおり、CX-3については日本での販売開始から間もない2015年10月から生産しているということなんですね。決して、今まで日本で作っていたのをやめて、タイで新たに作り始めるというわけではありません。すでにCX-3の生産について「国内工場と同様の実績がある」ところに任せるということです。
これは今後CX-3を買う人には安心できる材料ですね。
2015年の生産開始に当たってのセレモニーの写真を何枚か転載させていただきます。(転載元はこちら)
いやぁ、華やかですね。とても良き。
誇りを持っての日本への輸出
このように、CX-3の生産についてすでに日本と同等の期間の実績があるAAT工場ですが、やはり本国である日本へ自分たちが作ったものが輸出されるというのはやはり一大イベントであったようです。
For the first time of Mazda CX-3 production will be exported to Japan. This is a new chapter in AAT’s success history and a pride for our employees for their commitment and continue to create quality products for customers around the world.
管理人訳 : ここで生産されたマツダCX-3が初めて日本へ輸出されることになりました。これはAATの成功の歴史における新たなチャプターであり、世界中の顧客のために献身をもって高品質な製品を造り続ける従業員たちにとっての誇りです。
AAT Mazda CX-3: Export to Japan Job#1 Ceremony(マツダCX-3 対日輸出セレモニー)より抜粋
作業着の従業員さんもたくさん写っていてうれしくなりますね。日本で生まれ、叡智を注ぎ込まれ、改良を重ねたCX-3。それを今はこの人たちが作って下さって、海を渡り、ワタシの手元にあるのです。
うん。逆輸入、悪くないね。っていうか、ワタシのCX-3……輸入車じゃん?
イイネ!!
感傷的な見方を抜きにしても、国内生産と同等の水準に達していない商品をマツダ本社が逆輸入するはずがありません。だからこそ、AATの方も自分たちの努力の結果だと喜ぶのでしょう。
そんなわけで、これから買う方々にとって、ますます何の心配も無いのではないかと、ワタシは勝手に考えております。
でも……CX-3、終わりの始まりじゃ……?
そう。確かにタイ製のCX-3の品質には問題がないとしても、国内で作るのをやめたってことは、先行きは暗い……そう思えないこともありません。
確かに、欧州・米国というマツダが重点を置く両地域での販売が終了するなど、CX-3の存続という点であまり楽観視はできないのは事実でしょう。ただ、アメリカはともかく欧州では(あまり細かい数字は把握していませんが)それなりに人気はあったような印象ではありましたが、どうなのでしょうね? よく言われている、CX-30を後継的地位に据えて、CX-3を終わらせることで効率化を図る、というのがしっくりくると言えばしっくりきます。
すっごく素人的暴言を言わせていただくと、CX-3はデカい西洋人にはさすがにコンパクトすぎたんじゃないの? と思わないでもありませんが……。
ただ、CX-30ってそんなに好調……でもないですよね? 値段も高いし、コンパクトのようでそうでもないし、樹脂番長だし。当初のもくろみはともかく、コンパクトSUVという激戦区をこの1車種に任せきるには少々不安が残るような気もします。かと言ってCX-3の方がより万人向けではない、とがったコンセプトですから、CX-3だけの方がよっぽど不安だと言われると反論できないのがツラいところです。
タイ・メキシコへの生産移管こそ生き残りのサイン?
まあ、ぶっちゃけ、そういう今後のマツダの方向性みたいな細かいことはワタシにわかるはずがありません。色々考えていらっしゃるでしょうから見守るのみですね。
ただ、そんな中、ワタシはCX-3の国内分生産がタイに移管されたのはCX-3の今後にとって良い影響もあるように思っています。もちろん、今後のモデルチェンジなどについては、MAZDA2の先行きにも大きく左右されるところでしょうし、簡単には見通せませんが、まず現行のCX-3の生き残りという面で言うと、タイへの移管は悪いことじゃないと思うのです。
なぜならCX-3はタイでは人気だということ。
そもそもCX-3は「タイランド・カー・オブ・ザ・イヤー2016」に選ばれた由緒あるクルマです。もちろんそれから長い月日が流れていますが、2021年のタイでの販売実績は4,747台と前年から112.9%アップしており、この伸び率はマツダ車の中でトップとのことです。(元記事はこちら)
ちなみに、CX-8が1,051台、CX-5は930台、CX-30が7,497台、MAZDA3が1,982台で、MAZDA2は圧倒的で17,813台となっているものの対前年では落としていますし、そもそもCX-3的にはMAZDA2が売れてくれるのはウェルカムです。このようにタイでは単純に台数で見てもCX-3の健闘ぶりとスモール群が人気のマーケットであることがわかりますね。
いかがてしょうか? タイや東南アジアなど(タイ以外の売上は確認していませんが!)だと現行のスモール商品群でまだまだ戦えそうですし、世界戦略的にラージ群で攻めていく雰囲気になっているマツダの方向性から見ても、度重なる商品改良を経てしっかり熟成したCX-3を、能力的にも生産実績的にも充分で、マーケット的にも人気かつ成長も見込めるタイにまとめてしまうというのは悪くないように素人ながら思います。
全世界戦略からは明らかに外れているCX-3ですが、だからこそ無理矢理国内の生産ラインに残そうとするより、売れている土地で作り続ける方が細く長く生きられそう……という感じです。
ちなみに、オーストラリアでもLight SUVカテゴリで最もよく売れている車なんだそうです。(ワタシが確認したのは2021年と2022年です。2021年は12,873台も売れてるんですってよ!)
……なんだかこうして見ると、CX-3ってまだまだイケるんじゃね? とか思っちゃいますよね。
細く長く。それもまた人生さ。
移管についてポジティブなことを書いてきましたが、正直なところCX-3単独でのフルモデルチェンジなど、新展開と言えることはあまり期待できないかもしれませんね。開発的にはMAZDA2の今後が定まってこないとどうしようもないでしょうし、商売的にもCX-30の動向を無視してのCX-3独自でのフルモデルチェンジというのも考えにくいでしょう。30と合流してのモデルチェンジならあり得そうですが、それならもっと先の話になるでしょうし。
なにより、今のマツダの方向性を考えると、全く新しいものを作るというコンセプトでこだわり抜いて作られたCX-3のフルモデルチェンジ版を、同様の情熱を注いで開発することはできない状況であるような気がします。
まずは細く長く生き残る。
とても消極的な願いではありますが、ワタシはCX-3がまれに見る名車だと思っていますので、まずは長く生き残ってくれることを願うのです。
それではまた。