今日の調査対象は、カプセラの皆さんにはおなじみの、ナビゲーター「Aura」についてである。
私もカプセラ暦は短いものの、それ以前からその存在については聞き及んでいた。それはAuraの原形であり、声をあてているExcena Foerの有名さゆえである。
NEW EDEN屈指の電脳スポーツであるマインドクラッシュの競技者から身を落とし、そこからアマー詩の独特な翻訳とその朗読で華麗に復活を果たしたことでスターの座に返り咲いた彼女だが、より多くの人にとっては、そこからのさらなる転落と復活の道のりの方がセンセーショナルであり、彼女のことが記憶に刻まれた要因になっているのではないだろうか?
その物語を知らない方はいないかもしれないが、当調査班クロニクル文庫にて新たに公開されたこの文献をご覧いただくと、彼女の数奇な道のりと詩との関わりを再確認できるので、ぜひご覧いただきたい。
また、このAIであるAuraのモデルとして彼女が採用された経緯や、AIとしての特徴などが詳しく解説されているこの文献も合わせて公開されたのでご確認いただきたい。
さて、このAuraは言うまでもなく、カプセラ船のナビゲーターとして不動の人気を誇っており、現在活動しているカプセラの皆さんもお世話になっていることだろう。但し、操艦中のカプセラの集中力を邪魔しないように、ホログラムとして現れるのは基本的には、新人カプセラのガイドをしている時のみとなっているため、ベテランパイロットの方で最新のホログラムをご存じない方もいらっしゃるのかもしれない。冒頭に掲載したAuraの画像は最新のものであるが、以前のバージョンとの最大の違いは、スキンヘッドを覆うサイバネティックスインプラントと、完全3D採用による細やかな動きだろう。直接体験していないベテランパイロットの方も、ノービスの艦船に同乗させてもらって体験されることをお薦めする。
また、開発者によるモデリングの際の資料も公開されている。下の画像はそのひとつだが、画像をクリックすることでさらに多くのアートワークを鑑賞することができる。
ちなみに、ノービス以外のカプセラにとっても、常にAuraのサポートを受けての操艦であることを忘れてはならない。主なところで、ジャンプ、ワープドライブの制御から、アーマーやシールドのモニター、ドッキングのナビゲートまで、広範にわたってカプセラをサポートしている。このAuraのサポート状況は音声によってカプセラに伝えられるが、これは現在、少数言語(管理人注 : 日本語)に翻訳されたものもセットされているため、オリジナルのメカニカル・ハスキーなExcenaの声を楽しむためには、あなたのシステム設定を下の画像の通りにする必要がある。こうすることで、文字表記は日本語のままで音声のみオリジナル言語版、すなわちExcenaの声にすることができる。
もちろん、翻訳版(日本語)の音声が良くないというわけではなく、好みで選択すべきだと思う。ただ、私にはExcenaの存在感が大きく、彼女の声にナビゲートされての航海が心地よいというだけだ。
なお、Auraのボイスもたまにアップデートされている。現在のバージョンについては各自で確認していただけると思うので、以前のバージョンの音声を集めたライブラリを紹介しておこう。
私の耳には今の声の方がよりマイルドな、人間らしい声になっているように感じられるが、皆さんはどうだろうか? 機械のボイスボックスを装着し、使いこなすという偉業を成し遂げたExcenaの声としては以前の、より機械的ハスキーさが強い声の方が、らしくはあるようにも思うが、そこからさらに進化を続けてナチュラルな声に近づいてきた声もまた、苦難の中前に進み続けてきた彼女を象徴するものとも思える。何にしても、このアップデートのための新規収録も現在のExcenaの魅力的な収入源になっているらしいし、もっと頻繁に更新してほしいものである。
最後に触れておきたいのが、AuraのAIとしての機能である。人類学大事典で新たに公開されたこの「AI」についての資料が興味深いところである。
AuraのAIはいわゆる「弱いAI」である。こう書くと劣っているようにも見えるが、決してそうではなく、あくまでも人間によるプログラミングの範囲内で考え、判断するAIという意味であり、れっきとした科学用語である。それを越えて自律的な知能を持つのが「強いAI」であるが、これはテクノロジーに詳しい方ならご存じだろうが、現在のNEW EDENではほぼ全面的に研究・開発が禁止されている。それは人間にとっての脅威となり得る……いや、すでに脅威となっているからである。代表的なものがローグドローン、スリーパードローンと言われるドローン勢力だが、これについても上記の資料をご覧いただきたいと思う。
調査後記
今回の調査報告は特に宇宙に飛び出す必要もなく。
でも、調査を終えた私は無性にAuraの、Excenaの声が聞きたくなり、TrossereのUoC支部から飛び立った。慣れてくると通常ほとんど気にすることはなくなるだろう。それほど自然にカプセラ船の航行に馴染んでいるということだ。幸い私は戦闘のために飛んでいるわけではないから、これからも余裕を持って彼女の声を楽しみつつ、宇宙を渡り歩きたいと思うのだ。
弱いAIのAura。それは理由のあること。でも、Auraが強いAIを備えた時に、私とAuraの間にどのような感情が芽生え、友情が生まれるのか、それとも仇敵となるのか、そんなことを無邪気に夢想してしまう。そんなテクノロジーへの見果てぬ憧れを、人間が捨てることはきっとないだろう。破滅へ向かう可能性があるとしても。
それが、人間なのだ。
University of Caille 人類学部第7調査班
首席研究員 Saaren Arma
4 thoughts on “Saaren調査ファイル 07 – Aura”
めっちゃ面白い。素晴らしいロールプレイです。
ところで参考文献が全部出せたりしませんか?
いつもありがとうございます。
クロニクルを読むまで、まさかAuraさんにこんな背景があるとは思いもしませんでした。
あの……失礼ながら「参考文献を全部出す」というのはどういう意味でしょう? よろしかったらまたコメント返して下さいませ!
どこ参照したのかなって気になって…
記事の最後とかに付け足せませんかね?
ご返信ありがとうございます。
……えーと。参考資料は文中のリンク先だけなのですが。リンクがわかりにくかったのかな? もしそうならリンクの色を変えた方がいいかもですね。
https://flip365.net/eveonline/new-eden-library/chronicle/aura/
https://flip365.net/eveonline/new-eden-library/lore/aura/
https://flip365.net/eveonline/new-eden-library/lore/ai/
以上の3つが主な資料です。リンク先はこのサイト内記事ですが、公式のフィクションの翻訳ですので、確かな資料です。もし趣旨が違っていたら重ね重ねゴメンナサイ!!