EveryshoreリージョンのLirsautton星系は、ジンメイ人の国と民族の故郷であり、それぞれの議会領の首都である。
Luminaireとの物理的な距離は2光年未満であり、連邦の主要な加盟国の中で最も近い。そのため、Lirsauttonはあらゆる分野でガレンテの問題に非常に強い影響力を持っており、ファーストコンタクトからの時間が比較的短いことを考えると、不釣り合いなほどである。逆もまた然りで、ガレンテの文化や企業の影響力は、他のどの連邦ホームシステムよりも強い。その結果、Lirsauttonは比較的遠いインタキやマナーよりも経済的・文化的活動の中心地となっており、巨大企業であるクァフェ社もここに本社を置いている。また、Luminaire以外の連邦の母星では唯一、CONCORDから高レベルのセキュリティステータスを与えられている。これは連邦で最も繁栄している星系の1つであることと、ガレンテの影響について比較的無関心であることの両方を反映している。
歴史
Lirsauttonは元々はMei-haと呼ばれていた。アマーと接触する直前に連邦に加わったジンメイは、連邦への支持と連帯を示すために、自発的に星系とその惑星を現代ガレンテ風の名前に改名した。
先史時代
Lirsautton星系にどのようにして人が住み着いたのかは、歴史的・考古学的なデータがほとんどないため、いまだによくわかっていない。多くの研究者は、言語的な類似性だけでなく、LirsauttonからYan Jungの故郷と考えられるDeltoleまでの距離が4光年強と近いことから、ジンメイ人はYan Jungから枝分かれしたものではないかと考えている。しかし、この時代に関する多くの情報がそうであるように、歴史家が具体的な事実として認めたものはほとんどない。この星系には、古代の遺跡や遺物はなく、近世のジンメイ宇宙計画の残遺物くらいしか残っていない。
ジンメイ人の探検と植民事業
ジンメイ人は、ChandeilleまたはTei-Suという名で知られるLirsautton第5惑星を起源とする。数世紀にわたる様々な派閥間の戦争の後、ジンメイ人は高度に組織化されたカースト制度を確立し、惑星上の他のすべての民族を排除し、Lirsautton第5惑星の支配的な派閥となった。ジンメイ人の遺伝子が多様性に乏しいのはそのためである。
ジンメイ人のカースト制度の厳格で規律正しい性質により、彼らは他の多くの人種よりも早く工業化時代とそれに続く時代に移行することができた。彼らはすぐに星系内の探索と植民地化を始め、Chandeilleの月Yue-Xi上に中継基地となるコロニーを建設した。
ジンメイ人は早くから宇宙飛行を実現していたが、さまざまな要因であまり拡大できなかった。Sang Doの大領主たちは、急速な拡大が確立された秩序を不安定にしてしまうことを恐れていたのである。その結果、Lirsauttonの外縁部に作動しないスターゲートをいくつか発見したにもかかわらず、彼らは自分たちの星系を離れようとは全くしなかった。しかし、第3惑星Hulang(またはChakaux)には一斉に入植し、多くのジンメイ人にとって第二の故郷と見なされている。
ガレンテとのファースト・コンタクトと連邦への加盟
この星系は、連邦によるEveryshoreリージョンの広範囲な植民地化と開発が進められる中で、最終的にはマナーの小規模な探検隊が「発見」した。探検隊は、Lirsauttonから発信された磁気信号を調査していて、近くの星系でジンメイの初期型探査機を回収した。この星系に入ったマナーの偵察隊は、ジンメイの戦艦と睨み合いになった。しかし、ガレンテ設計の民間偵察艦とジンメイ軍の巡洋艦の戦闘能力が同等であったため、事態は速やかに収束した。
最初に、ジンメイの技術や宇宙インフラを他の国と同等にすることに尽力したのはマナー政府であり、それが両国民の友好関係の構築に大きく貢献した。現在、タカ派の有権者層がマナーとジンメイの出身者を中心に構成されているはその一例である。
しかし、時が経つにつれ、LirsauttonとLuminaireの距離が近いことから、ガレンテがジンメイ人の中でより重要視されることとなった。ガレンテは身近なところに宇宙文明があることに驚き、なぜジンメイともっと早く出会わなかったのかと不思議に思った。また、ガレンテとの農産物貿易の利益を享受しているジンメイが、自分たちとの同盟を結びたがっていることにはさらに驚かされた。
西暦23174年、ジンメイ国は連邦憲章に署名し、新たに連邦の一員となった。これは、自分たちの本拠であるコンステレーション(星系群)を自分たちの主権領域として認めてほしいという大胆な要求の後の出来事であった。この協定には、ジン・メイが50年以内にカースト制度を廃止するという条項が含まれていた。結局、文化的・政治的な影響からこの条件は履行されず、ジンメイはその後、カースト制度の存在を危うくする連邦法を採用しない権利を与えられた。
現在
今日、Lirsauttonはガレンテのビジネスと文化の中心となっている。Quafeはシステム内で無数の関連企業を運営しているが、その中でも最大のものがここに本社を置くGaroun Investment Bank(GIB・Garoun投資銀行)である。GIBはハイテクやエンターテイメントを中心とした新手のベンチャー企業に投資することで、Lirsauttonの各分野を活性化させている。特に音楽は人気があり、Egonics(音楽制作・配信関連の企業)はこの機会を利用している。
カースト制度はLirsauttonの宇宙経済においてはなかなか公的に運用できない現状だが(連邦の労働法や無差別法と競合することが多い)、それにもかかわらず惑星上ではまだ完全に存続している。そのため、ジンメイの管轄区域内で連邦法に基づいて活動しようとするガレンテの巨大企業との衝突が起こっており、確立された伝統や慣習を崩壊させつつある。
その代表的な例として挙げられるのは、YC110にFedMart(訳注:最大手の小売企業 )がジンメイの下位カースト(Jing Ko)の農民に直接働きかけて農産物の売買交渉をしようとしたが、最初に2つの上位カースト(Saan GoとSang Do、共に貿易事務を管理する責任を持つ)にアプローチしなかったことで社会秩序を混乱させたことである。
FedMartが連邦法により保証された商業の自由と交易を妨害されない権利を主張する一方、Lirsautton農業委員会は、FedMartの進出に不満を表明し、Sang Doの土地所有者の多くが借地人を立ち退かせると脅した。結局、連邦政府はこの件には介入せず、ジンメイ自治政府に問題を委ねた。この件は雪だるま式に急激に拡大し、世論はFedMartに反発し、FedMartはジンメイの慣習に則って、まず仲介者にアプローチすることを余儀なくされたのである。経済専門家の間では、FedMartはJin-Meiの大領主たちが課す税金や関税を回避し、利益を最大化するためにJing Koにアプローチしようとしたのではないかと考えられている。しかし、それができなかったために、FedMartが販売するジンメイ産の農産物は、その後、連邦内外で価格が上昇した。
太陽
いまだ「Mei-ha」とも呼ばれているLirsauttonの小さな黄色い星は、ほとんど目立たない存在である。主系列星(訳注:恒星の一生の段階のひとつ。リアルの私たちの太陽も主系列星です)としての寿命が終わりに近づいているが、頻繁に起こる太陽フレアは、平均よりも低い温度でありその影響は緩和されている。小さな太陽であることもあり、Lirsauttonの生物生息可能域は他の星系よりも広い。
内惑星
Lirsautton I(Lirsautton第1惑星)
この月のない不毛の惑星は、軌道半径が0.248 AUで、軌道周期が非常に短い。限られた微生物が生息しているが、恒星に近いため太陽フレアの影響を極めて受けやすい。いくつかの地下居住区が存在するが、そのほとんどは採掘目的である。ジンメイ人は、温暖な環境以外での大規模な居住地を自立的なレベルまで運営した経験がないため、これらの居住地は、ホームワールドのSang Doの大領主たちの支配下に置かれている。
CreoDron社はLirsautton宇宙産業のハイテク化とオートメーション化の必要性を満たすステーションを軌道上に係留し、惑星の地下から鉱物や鉱石を購入している。
Lirsautton II(Lirsautton第2惑星)
Lirtutton IIは第1惑星からわずかしか離れていないため、太陽フレアの影響を強く受ける。この不毛な惑星には、人間に強い毒性を持つ微生物が生息しており、除染手段に対しても強い抵抗力を示している。そのため、固い外殻の下には大量の水が存在するという説があるにもかかわらず、この惑星は他の惑星に比べて十分な調査が行われていない。
Chakaux(Lirsautton III・第3惑星)
ChakauxまたはHulangとしても知られるLirsautton IIIは、ジンメイが連邦に加盟する前に入植した初めてかつ唯一の惑星である。太陽に近い位置にあるが、頻繁に発生する太陽フレアにより、熱を蓄えている雲の層が消散されられ、冷たい惑星の核を持つことと相まって気温は耐えられないほど低く保たれており、大きな海が蒸発するのを防いでいる。ジンメイ人はこの惑星の広範囲に渡って入植しており、地元ではまだHulangと呼ばれており、多くの人々はChandeilleよりもここのことをホームワールドだと思っている。海洋世界であり、利用できるわずかな土地を横切って山岳地帯があるため、ジンメイ人は海岸線に高層都市群を、砂漠にはアーコロジー(完全環境計画都市)を建設せざるを得なかったが、これらは彼らにとってあまり経験したことのないものだった。
Chakauxの領土は、以前は本国のSang Doの領主たちの権限下にある惑星外コロニーだった。しかし、入植から1世紀も経たないうちに、地元のSaan Goの管理官が反乱を起こし、自らを大領主として領土を確立した。これは、カーストには流動性がないという面でカースト制度に反しているが、反乱から何世代も経っているため、この文化的違反はほとんど忘れられている。
Lirsautton IIIは、1.2日で軌道を一周するRuxinと呼ばれるひとつの目立たない月を持つ。ここには月面防衛ネットワークが構築されている。
中間惑星
Lirsautton IV(Lirsautton第4惑星)
この不毛の惑星は、ジンメイが最初に探査した惑星であり、初めての有人探査船がホームワールドの月に着陸してからわずか50年後のことだった。水がなく大気も薄いが、年平均気温が305.54K(摂氏32.39度)であることや、Chandeilleに0.3AUと近いことから、植民地化に適した惑星と考えられたのだ。しかし、初期の探査ミッションでは、水が無く大気が薄いため、惑星の温度変動が極端であることがわかった。例えば、赤道上では、昼間の平均気温は314.15K(摂氏41℃)、夜間の平均気温は241.15K(摂氏マイナス32℃)である。また、軌道の離心率が高いため、打ち上げに適したタイミングが非常に限られていた。この惑星には何の価値も見いだせず、ジンメイが連邦に加盟してかなり後になるまで無視されることになった。
Lirsautton IVが持つ唯一の月には、Garoun Investment Bankの本部がある。
Chandeille(Lirsautton V・第5惑星)
Lirsautton Vは、ジンメイ人のホームワールドである。今でも地元では「Tei-Su」と呼ばれているが、連邦加盟にあたってコミットメントを示すため、ガレンテ風の「Chandeille」という名前が一般的に用いられることとなった。
豊かな土地と暖かい海のバランスがとれた大陸的な自然環境であり、ジンメイ人はそのような至って快適な環境の中で繁栄することができた。太陽から適度な距離があり、四季の変化を最大限に活かすことができるため、ジンメイ人は他に類を見ない農産業を生み出し、連邦内で最も優れた農場経営者としての地位を確立している。惑星はエキゾチックな植物と豊かなジャングルに覆われており、様々なユニークな野生動物が生息しているため、冒険心旺盛なガレンテ人の間でジンメイの食材に対する高い需要が生まれている。
極地への探査と入植は多くの技術的躍進をもたらし、ジンメイはその階級制度のやや堅苦しい性質にもかかわらず、宇宙開発へと急速に前進することができた。Chandeilleの大陸の大草原は、これらの進歩からくる需要を満たすすべての鉱物を提供したが、そこはジンメイのカースト制度に統合されなかった様々な小部族の根拠地でもあった
。Chandeilleの都市は、都市や産業の性質が環境を破壊しないよう草原や沿岸部に巧みに配置されているが、いくつかの先進的な複合施設はジャングルの中に建設され、ジャングルとの共生関係を築いている。ジンメイ人は、自分たちが農業で経済的優位に立っていることを十分認識しているので、市場での優位性を脅かすような自然環境の破壊をしないように自制しているのである。
ひとつのアステロイドベルトとYue-Xiと呼ばれる月がこの惑星の周回軌道に乗っており、Yue-Xiでは初の月面コロニーが自治領となるまでに成長している。
Lirsautton VI(Lirsautton第6惑星)
この惑星は、初期のジンメイによる植民地化の試みの対象となったが、それは悲惨な結果に終わった。予定されていた3つの部隊のうち、最初の隊は無事に到着し、最初のテラフォーミング入植地の建設を開始した。2番目の部隊は大型艦で予定通り到着したものの、ひとつの着陸用スラスターのブースターが故障してしまった。艦は入植地に墜落し、即死ではなかった人々も出来たばかりの入植地の破壊によって負傷し、まもなく全滅してしまった。3隻目の船は、引き返してChandeilleに戻るように命じられた。
この事件により、ジンメイの宇宙開発は数十年にわたって中断された。連邦はテラフォーミングの完了を支援したものの、それ以来Lirsautton VIはジンメイの文化の中で、幾分呪われた世界として見られるようになってしまった。その穏やかな気候もそういった認識をより強めるだけだった。
この惑星にはSang Doの大領主達が住み着くことはなかった。その代わり、この惑星には様々な理由で他の地域から追放された多種多様な亡命者たちが暮らしている。彼らは部族を形成し、互いに断絶して分散した状態で各地に定住している。ジンメイ星系当局は、これらの部族の居住地からできる限り離れた場所に定住する限りにおいて、いくつかの小規模な連邦企業が自分たちの利益のために限定的な採掘事業を行うことを許可している。これらの企業のいくつかの施設や宇宙港は、部族の人々にとってほとんど神話的な存在となっており、彼らは自分の子供たちにこれらの金属の獣や、空の彼方にいる「邪悪なもの」に気をつけるように言っている。カプセラが運営する惑星産業は、こうした民話にさらに拍車をかけている。
この惑星には1つのアステロイドベルトと、惑星を周回する1つの月を持つ。この月はまだ植民地化されていない。
Lirsautton VII(Lirsautton第7惑星)
この不毛で極寒の惑星には、いくつかの単純な生命体が存在する。それ以外はあらゆる意味で注目すべきものがないく、まったく植民地化もされていない。そのためクァフェ社は、この植民地化されていない惑星の軌道上に自分たちが留まれば、ジンメイ人の統治権を侵害せずに、Lirsauttonの労働規制の低さをフルに活用することができるだろうと考え、本社と主力工場をここに置くことにしたのである。
外惑星
Lirsautton VIII(Lirsautton第8惑星)
Lirsautton VIIIは、過去半世紀の間にガレンテの水中都市建設のノウハウを用いて入植された海洋惑星である。海の温度は、太陽の熱を深くまで封じ込めているおかげで比較的暖かく、そのため自然の生物が豊富に存在している。ジンメイのnuyin(Sang Doの王室技術者)は、自然の生物と共存するために、選択した種をChandeilleからこの世界に移すことを決め、その結果としてLirsautton VIIIの深海には何百万もの異なる種類の生物が生息することとなった。ジンメイは陸上農業のノウハウを活かし、Lirsautton VIIIを連邦の重要な水産養殖の拠点に育て上げた。海底に点在する大きなクレーターの多くにはドーム型の水中都市が建設されており、それぞれの都市はSang Doの大領主の支配下にある。
Lirsautton IX(Lirsautton第9惑星)
この惑星は、大気組成が同じで外見もほぼ同じの環状ガス惑星が一対となっている「Twin Heavens(双天)」を構成する2つのうちの1つである。専門的には巨大ガス惑星に分類され、大きい方がLirsautton IXである。ファーストコンタクトから間もなく、連邦政府はここに2つの大使館を建設し、現在ではLirsauttonと連邦の他の地域をつなぐ主要な官僚機構として機能している。Lirsautton IXには19の月があり、そのほとんどは大気圏上層にある採掘コロニーやガス採取施設を監督するマイナーなSang Doの領主によって所有されている。
Lirsautton X(Lirsautton第10惑星)
Lirsautton Xは「Twin Heavens」の外側の方のガス惑星である。内側の惑星に比べて桁違いに小さく、巨大ガス惑星に分類されるほどの大きさではないため、ジンメイ人は当初、第9惑星と第10惑星の外観が一致していることに混乱し、それらが同じ天体であると信じていた。しかし、最初の深宇宙探査機によって2つの惑星が別々のものであることが明らかになり、「Twin Heavens」と呼ばれるようになった。
月の数が少ないために不動産的価値が定まらず、ジンメイ人はこの惑星をほとんど無視していた。その代わり、いくつかの観光業者が許可を得て、環状星系の周辺にアーコロジー・ステーションを建設したり、惑星の大気圏上層に浮かぶリゾートを建設したりした。Egonics社(クァフェが一部所有している)が進出し、これらの観光会社をいくつか買収した後、Lirsautton Xの月の一つの軌道上に自社のステーションを建設した。Egonics社のステーションは、ジンメイのクラシック音楽とポピュラー音楽の拠点となり、連邦や世界各地で大成功を収めた。
Lirsautton XI(Lirsautton第11惑星)
太陽から27AU以上と比較的遠方にあるガス惑星であるLirsautton XIは、ジンメイが連邦に加盟するまで完全に無視されていた。軌道上に2つのスターゲートがあり、恒星軌道からそう遠くないところに3つ目のスターゲートがあるため、その月はその後、ガレンテとのファーストコンタクトから間もなくLirsauttonに殺到し始めた膨大な量の商業船の交易前哨地や中継地点として開発された。Lirsautton XIは、現代においてもこの目的を果たしている。
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EVE Universe – Lore – Lirsautton
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