Written in YC102-01-24
ガレンテのエンターテイメント産業は非常に競争が激しく、ショービジネス企業は競争相手より優位に立つためなら何でもしようとする。エンターテイメント産業の規模は、わずか1%のシェアの変化が数十億の追加収入につながるほどである。そのため、そのため、多くの企業がスパイ活動や妨害活動などの怪しい手段を用いる一方で、常に技術競争を行っている企業もある。後者の例のひとつとして挙げられるのが、Egonicsだ。
Egonics社は創業50年の企業で、現在はすべての人々にそれぞれの好みに合った音楽を創り、広めることに特化している。そのためにはいくつかの重要なステップがある。
まず第一に、Egonicsは何十億人もの人々の個人情報を含む巨大なデータベースを運営・管理している。Egonicsのデータベースは、非政府企業が所有する個人情報のデータベースとしては、間違いなく最大のものだ。当初、Egonicsはこのデータベースを数多くの製品に利用しようと計画していたが、実際に成功したのは音楽関係の製品だけだった。当初、ガレンテ政府の保守派はEgonicsのデータ収集に猛反対していたが、Egonicsはこの反対を巧みに利用して、若者たちを自分たちの側に取り込み、あらゆるものに対しての個人の自由を提唱した。これがその後の企業の成長の大きな要因の1つとなり、「Egone」は世界中の若者の間で自由の象徴となったのである。
Egonicsのデータベースには非常に詳細な情報が記録されており、職業、学歴、配偶者の有無などの社会的身分だけでなく、遺伝子や生物学的なデータも網羅されている。Egonicsはデータベースを拡大し、最新の状態に保つためにあらゆる手段を用いている。これらの手段の中には多くの人から非難されるものもあるが、顧客が自分の好きなものを正確に入手できるようにするためのEgonicsの熱心さを評価する意見もある。またこの膨大なデータベースに登録されていない人々からのDNAサンプルをEgonics社に販売することで成功している例もある。
第二に、Egonicsは何千人ものサウンドエンジニアや音楽家を雇用しており、顧客層ごとの特徴に合わせた音楽を絶えず制作し続けている。Egonicsは、何百もの人々の好みのパターンを認識しており、誰もが自分の特別な好みに合った音楽を見つけられるようにしている。こうして毎日何千という楽曲が発表されているのである。Egonicsに雇われているミュージシャン達はその間、総じて無名な存在だが、雇われている間に貴重な経験を得て、彼らの多くがEgonicsを離れたのちに名声を得ている。
そして最後に、Egonicsはユニークな方法で顧客に音楽を届けている。Egoneはヘッドフォンではなく、頭の飾りのように見えるかもしれない。これは、通常のヘッドホンのように耳に音を流すのではなく、耳を介さずに聴覚を司る脳の領域に直接音楽を投影するためである。これは、Egonicsにとっても顧客にとっても、明らかに多くの利点がある。最も重要なのは、実際の音を録音しないので、違法なコピーや配布の危険性がないことだ。また、騒音もなく、耳が空いている状態なのでスムーズに会話することができる。
音楽はラジオのように波長を使ってEgoneに配信されるので、実質的にEgonicsの顧客は皆、自分専用のラジオ局で自分の好きな曲やお金を払った曲だけが流れているのを聴いていることになる。
全体的にはEgonicsは着実にその人気を高めているが、その徹底的なデータ収集や押しつけがましい放送方法を嫌う人も多い。例えば、アマー帝国はEgonicsが自国内で活動することを禁じている。
参考文献
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EVE Universe – Chronicles – Egonics Inc.
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