Dam-Torsad - EVE Online 箱庭宇宙の構成分子

Written in YC102-02-01

Dam-Torsad――アマー帝国の帝国都市――は私の心に刻み込まれた。意識的にその退廃した存在を払拭しようとしたが、それは私に刻み込まれてしまった。それは記憶――まったくもっての悪夢――の上に築かれたものであり、それらが最終的にあなたの心を堕落させるのを止めることはできない。50年にわたって私はこれらの呪われた記憶から逃れようと苦心してきたが、人間社会の記憶は苦々しいものへと変わった。

抑圧的な壁から逃れても、鮮明な記憶はずっと残っている。繁栄する都市というより、モニュメントのようなもの。それが街の記憶だ。伝統と慣習に強く支配的に縛られ、活気のない人々の記憶。それはまるで千年前の祖先達が今暮らしているかのようだった。
私はすぐに、社会にはびこる不公平に気づかされた。領主は平民を、平民は奴隷を踏みにじっている。才能などというものは何の意味もなく、人は社会的地位によってのみ判断される。そんな中で育つ唯一のものは、裏切りや陰口だ。ひねくれた年寄りは、熱心な若い成り上がり者を心底うらやましく思い、彼らをやりこめることに病的な喜びを見出す。そして平民はその地位と権力を渇望して、未だに領主達を畏怖の念をもって見上げている。しかし彼らはどんな鉄の枷よりも頑丈な伝統に縛られ続けているのだ。
進歩という言葉はアマー人には馴染まない。この巨大な帝国は純粋な偶然と幸運によって築かれたようなものだ。しかし、ひとたび彼らの複雑なシステムを知れば、彼らはまるで大きな獣のように、どんな反対勢力も踏みにじって、ひたすら前進しているように感じられるだろう。
彼らの進歩は飛躍的なものではなく、むしろ数十年、数百年にわたる意図的で明確な計画によってもたらされるものである。領主達の繊細に編み上げられたクモの巣に捕まってしまうと、あなただけでなく、あなたの子供たちやさらにその子供たちまでもが追い込まれかねないのだ。脱出することは問題ではない。生きて脱出することが大変なのだ。
Dam-Torsadに滞在した数年間で、私はアマー人を憎み、軽蔑するようになった。彼らの社会はガレンテ人の社会とは多くの点で根本的に異なっている。しかし、アマー人を過小評価してはいけないことも学んだ。彼らは冷酷なまでに効率的であり、代々成し遂げられてきた偉業に畏敬の念を抱かざるを得ない。
初代駐アマーガレンテ大使、Yanou Lautereの自伝より抜粋

参考文献

Dam-Torsad（Lore）