カルダリ・プライムは、その特別な魅力に慣れていない人にとっては歓迎されていないように感じるかもしれないが、ドラマチックな風景、天候、そして動物相を持つ世界であることは間違いない。比較的冷涼な世界であるため、多くの動物のは他で見られるよりも大きく、カルダリ・プライムのグレートベアはその代表格である。中でも最も有名で、象徴的にも精神的にも重要な2つが、ストームベアとエンペラーベアである。
ストームベア
カルダリ・プライムの気候は他の温帯気候の惑星よりも寒いことで知られるが、極地と亜極地の広い範囲はまさに極寒である。極地を囲む広大な領域には、広大なツンドラを含む様々なバイオームが存在するが、亜極帯のタイガはカルダリの文化と神話を象徴するものである。これらの地域に生息する動物の中で最もカリスマ的な存在は、カルダリ・プライムのグレートベアである。北部タイガではストームベアが頂点に君臨しており、南極群島のエンペラーベアを除けば他のどの捕食者よりも大きな生物である。
ストームベアの生息地域は、南の島々よりもはるかに山が多く、森林に覆われた斜面を席巻する大嵐で知られている。ストームベアは、カルダリのアニミズム(精霊信仰)の伝統では「サンダーベア」とも呼ばれており、その名前は雨雲のような灰色の毛皮と、最大級の山嵐の風、雨、雷を前にしてもまったくひるまないことに由来する。ストームベアの生息域に住む一部の伝統を重んじる民族は、ストームベアのことを直接口にすることをタブーとしており、「Storm Wind’s Teeth(烈風の牙)」や「Mountain Wind’s Claws(山風の爪)」などの婉曲的な表現を用いている。
エンペラーベア
古代カルダリ、ラータ帝国の貴族たちは様々な紋章を使用していたが、最も有名なもののひとつはエンペラーベアの紋章であり、第二次統一王国の皇帝K’vire III Fuukiuyeの個人的な紋章であったと考えられている。カルダリの古代史は神話と伝説に包まれているが、この熊の紋章は明らかに南極群島の大きなエンペラーベアへのトーテム信仰的な愛着に由来している。Fuukiuye族のカルダリ・プライム全土にわたる大移動は、南はタイガの島があるあたりまで及び、そこで金色の毛に覆われたエンペラーベアに遭遇したと考えられている。
黄金の熊のトーテムは、最上位の部族の一つが使用し、何世紀にもわたってリーダーシップと結びついていったと考えられる。皇帝K’vire III Fuukiuyeは、このシンボルを使うことで、Raata帝国のリーダーとしての地位を固めようとしたことは間違いのないところである。この紋章は、約2世紀後の第3次統一の際に、Deteaas IX Oriyoni皇帝が指導権を掌握し、Fuukiuye皇帝がOriyoni皇帝に取って代わられた時に使われなくなった。エンペラーベアは、北方のストームベアーと同様に、カルダリの強力なシンボルであり、アニミズムの伝統においては、集団に奉仕するリーダーシップを示すものである。
生理機能
カルダリ・プライムのグレートベアは、この世界に生息する他の多くの動物と共通の特徴を持っている。
カルダリ・プライムの雑食動物の間でほぼ共通する三段階の消化管が存在する。惑星上の多くの大型哺乳類と同様に、四葉の肺の配置は注目に値し、クマにかなりの呼吸能力を与えている。頑丈な6室の心臓は、動物の活動に応じて血液ポンプのリズムを変動させることができる。グレートベアのスタミナは十分に証明されており、また身体へのストレスを最小限に抑えながら休息からエネルギー消費の高い活動へと移行する能力も備えていることから、この惑星上で最も恐ろしい捕食者となっている。
生物学者の中には、惑星を包んでいた「大氷河期」と、学説によればだが――その結果大気中の酸素が減少したことによって、これらの仕組みが進化したと考える者がいる。また、高地に生息する種が惑星上に広がったための適応であるとする説もあるが、低地の化石記録にそのような種が存在することの説明にはならない。
最近発展してきた急進的理論は、カルダリ・プライムのテラフォーミング仮説に関連しており、カルダリ・プライムのほとんどすべての原生種は遺伝子操作の上で導入されたものだと主張している。
2種のグレートベアのうち大きい方はエンペラーベアであり、通常は金色の毛をしているが、茶色や赤毛の亜種も記録されている。ストームベアは通常やや小さいが、大きさの重複範囲は狭く、非常に大きなストームベアがエンペラーベアに匹敵しうるといったところである。どちらの種も強力な前足の爪を持っており、これはおそらく掘ったり登ったりするために進化したものである、また噛みつく力は恐るべきものがある。
行動と生息範囲
カルダリ・プライムのグレートベアは、人間の人口はさておき、間違いなくこの惑星の最上位の陸上捕食者であるが、雑食性で適応性が高い。
彼らの生息域の限界は、一般的に食料の入手可能性と人間の存在によって決定される。グレートベア種の中でも最も大きいストームベアとエンペラーベアは、山や島のタイガ地域に留まることを好む。双方共に長い寒冷期が始まると冬眠を開始したり、一時的な食糧不足を緩和する能力を持っていて、後者は特定の魚類の移動に関連していることが多い。彼らは冬眠のためのシェルターとして、また妊娠中の雌のねぐらとして、大きな巣穴を掘ることに長けている。
ストームベアはエンペラーベアよりも攻撃的な傾向があるが、後者を軽視してはいけないことは言うまでもない。カルダリ・プライムの住人は、カルダリのアニミズムの伝統におけるクマの重要性に基づくことはもちろん、その力の強大さからも、この2種のグレートベアを最大限の敬意をもって扱うべきであることを知っている。ストームベアを飼いならすことに成功したという信憑性のある記録は、侵襲性の高い技術の使用によるものを除けば、これまでに一度もない。エンペラーベアは人間の存在に寛容であると記録されることもあり、その範囲内の人間の居住地を探索する傾向がある。
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原典 EVE Fiction – Great bears of Caldari Prime
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