The Sarpati Family – Sarpati一族 - EVE Online 箱庭宇宙の構成分子

Written in YC103-05-14

かつては、すべての国がニューラルブースターの未来に大きな期待を寄せていた。多くの人々は、それが人類自らを向上させるための次の自然なステップであると信じていたのだ。各帝国は、被験者達を卓越したものに進化させる驚異的な調合を創り出すことを夢見て独自にブースターの研究を開始した。これらの夢は、ある日崩壊した。ニューラルブースターには非常に残念な副作用があることが判明し、公衆衛生上の害悪と化してしまったのだ。

あまり知られていないブースター研究企業のひとつが、ガレンテの有能な科学者であるIgil Sarpatiによって所有・運営されている企業である。Sarpatiの企業（単に「Sarpatis」と呼ばれていた）は、ガレンテ連邦と契約し、ブースター研究を主導することとなった。致命的な副作用が発見され、連邦がブースターを禁止すると、企業への援助も打ち切られ、あっという間に没落した。ブースター事業を立ち上げていた他のほとんどの企業と運命を共にしたのだ。
企業の閉鎖から数年後、Igil Sarpatiは死亡した。Sarpati家は名声を失い、何千もの他の企業とともに、過ちの例として歴史に埋もれる運命を辿ったように思われた。

Igilの養子でカルダリ人のVirge Salvador Sarpatiは、父親の死後に一族の長となった。彼は父親の失敗の陰で育ったが、その経験が彼の人生を決定づけた。やがて、彼は自分の会社を設立し、亡父の会社への敬意を込めて、家名の旧形式であるSerpentis（サーペンティス）と名付けた。Sarpatiの跡取りに残された唯一の遺産は、父親の旧式のブースターに関する処方であったが、ブースターが禁止されていたため、それには価値がなかった。そのため、父親のように製薬事業に進出するのではなく、V.Salvador Sarpati（彼自身そう呼ばれるのを好んでいた）はハイテク分野の研究開発に焦点を合わせることで、ゆっくりと、しかし確実に力を得ていった。
名目上はガレンテを拠点とする企業として始まったが、早い段階から極めて国際的な性格を持つようになり、どの政府にも属さない企業と見なされるようになった。Salvadorは過去の経験からますますガレンテに対する反感を抱くようになり、カルダリ企業やカルダリの高官にしか組織の上層部への出入りを認めないようになった。

30年前、SarpatiはPhoenixコンステレーションにある星系を購入し、それをSerpentisと名付けた。彼はSerpentis Primeを周回する巨大な宇宙ステーションを建設し、そこから企業運営を行っている。彼の力と富が増すにつれ、所有する領域を拡大し、現在はEVEの世界で1ダースほどの宇宙施設を運営している。（訳注： 2022年の翻訳時点では20カ所以上のステーションを所有しています）
すべてのサーペンティスステーションは公式には「リサーチステーション」と呼ばれているが、時と共に悪名高い海賊の巣窟へと変貌した。Sarpati自身もそのような変化を奨励しており、無害な企業というよりは、長期的な邪悪な戦略を持つということをちらつかせている。事実Sarpatiは、企業を立ち上げた後、父が残した古い処方を引っ張りだし、自らの研究施設にそれを委ねたとも噂されている。

ステーションを海賊や無法者に開放するということは、容易に両刃の剣になる得るが、Sarpatiは自らを守るだけの利口さを持っていた。
彼はエンジェルカルテルと、すべてのサーペンティスステーションを保護してもらうという協定を結んだ。その見返りに、エンジェルはこれらのステーションでのすべての取引からその一部を受け取り、サーペンティスコーポレーションが行うあらゆる研究成果へアクセスすることができることとなった。この取引は両当事者にとって非常に有益なものであったため、エンジェルカルテルは、サーペンティスの領域と無類の贅沢さを誇るSarpati一族の暮らしを守るためにガーディアンエンジェルズの全部隊を投入した。DEDはこの状況にまったく気付かないわけではなく、Sarpatiの施設のいくつかを閉鎖しようと何度も試みたが、無駄足に終わった。

V.Salvador Sarpatiは少数の従者達を集め、サーペンティス星系で彼のそばに置いている。彼らはそこで、世間体を気にすることなく、気ままな遊びと戯れに日々を過ごしている。Sarpati自身も積極的に参加はしているものの、その限りない活力と野心は、彼を時折そこから抜け出させて彼の小帝国のことに携わらせる。軽薄な従者達が彼と共に暮らしている一方で、頭の固い従者達は他のサーペンティスステーションに散らばって物事に当たっている。
Sarpati一族の養子の一人であり、妹のSantimonaだけが、サーペンティス・プライムでのでの怠惰な生活と、Sarpatiの裏社会との密接な関係の両方を拒絶している。彼女は現在「Sisters of EVE」の一員となっており、事あるごとに自分の兄弟とそのライフスタイルを嘲笑し、彼を「サーペントの王」と呼び、サーペンティス・プライムを彼の王室と呼んでいる。