「Book of Records(記録の書)」は、アマー教典のもっとも多くの部分を占める、古代にまで及ぶ帝国のほぼすべての市民の名前と系譜を含む包括的な書物である。「記録の本」に記載されているということは、帝国の一人前の市民であることと同義であるが、その宗教に改宗した人々にのみにその権利がある。「記録の本」から抹消されることは、すべての権利、称号、財産、救済の望みを失うに等しい重大な脅威である。聖職者の中でも高位の者だけが、人の名前を「記録の本」から抹消することができる。
歴史
「記録の書」は、アマー帝国建国以前から存在する。古代の教典においても、親子関係、称号、土地所有権の争いの解決を導くためにこの書について触れられている。この時代でさえ、記録の書から攻撃されることは重大な脅威だった。しかし、この時代の記録の書の現物はほとんど現存せず、その記録の大部分は社会の上位層に限定されている。一般人の名前はごく少数のみ記録されており、初期の記録の書が社会の重要な構成員のためにのみ使用されていたと多くの人が考えている。
本書はアマー帝国の設立とともに現代的な形となった。Amash-Akuraがアマー島を征服した後、新たに戴冠した皇帝は全人民の国勢調査を命じた。各個人は(推定)生年月日、子供の名前、すべての親戚の死亡年月日とともに、Book of Recordsに記録されることとされた。この国勢調査は5年ごとに行われ、ほとんど中断されることはなかった。
初期の「記録の書」には、ずさんな調査員や単純な報告のミスによる誤りが多く見られる。多くの人について生年月日や死亡年月日がない状態で記載されている一方、複数回記載されている者もいるようだ。(西暦17020年の国勢調査では特定の浮浪者が少なくとも10回以上登場するらしい) しかし、調査が継続され、テクノロジーが進歩するにつれ、記録管理はより明確なものとなり、本書はより重要になり始めた。
時が経つにつれ、この本は単なる名前のリスト以上のものになっていった。まず、皇帝の伝記が書かれるようになったことから始まった。やがて、重要な領主達についての伝記も記載されるようになり、さらに低位の領主達へと拡大されていった。やがて、この本はアマー帝国の生ける歴史と言うべきものへとなっていった。
電子的記録の登場により、記録の書の維持は簡単なこととなった。人は誕生時に書に登録され、死亡が判明した時にそれが入力された。その他、貴族の称号を獲得したり、失ったりといった更新事項は必要に応じて記録管理者によって登録された。
形式
記録の書は電子的データベース版と物理的に手作業で作られた大部の書籍版の両方がある。記録の書、電子版は帝国内において一般的に公開されているが、そこには系図学者や歴史家ならともかく、興味を引く情報は大して含まれていない。最初期の記録もデジタル化されており、興味があればアマー帝国の最初のメンバーの名前を調べることもできる。
しかし、書籍版の記録の本はこれとは別物である。数百万巻からなる実際の記録の書は、Dam-TorsadのImperial Cityで保管されている。公開されているのは最新のものだけで、一般的には過去200年分の記録と、現在の皇帝と継承者についての記録(数世紀前の記録もある)が代表的である。それ以外のすべては、襲撃に備えて強化され、厳重な監視下に置かれた巨大な金庫室に保管されている。
物理的な「記録の本」への登録は、特別に訓練された聖職者が手作業で行う。登録は流れるような美しい書体でなされる。個人は、誕生時の地位に基づいて本書の中にスペースを与えられる。一般人は1行以下で、通常は誕生と死の日付、職業、識別コード、親子関係と子供たちを記録する。貴族には1ページ以上が与えられ、重要な領主には称号の変更、称号や領土の法的継承者、簡単な経歴を記録するために数ページが与えられる。継承者には1つの章全体が与えられ、その功績や失敗は詳細に記録され、伝記作家の好みによる特徴的な部分も多少含まれる。
皇帝は本書において一冊丸ごとを割り当てられるが、在位が長い皇帝なら数冊に渡ることもある。特にHeideran7世は、在位半世紀ごとに1冊ずつ、計6冊を割かれている。彼らの生涯は公式の記録者によって詳細に記録され、通常、歴史家にとって第一の参考資料となる。また、記録管理者によって複雑な挿絵や装飾が施されていることもある。
まれに、個人の名前が本書の中で別の場所へ移されることがある。これは、新しい継承者が指名されたときや、新しい皇帝が戴冠したときによく見られる。まれに一般市民が領主になることもあるが、スペースが許す限りにおいて移されることもある。
人がこの書から抹消されたときにどうなるのかは、彼らの地位によって異なる。平民はただインクで名前を黒く塗りつぶされる。上位の者の場合はセクションを削除され、物理的な意味で抹消される。
記録の書からの抹消
帝国内で最も大きな宗教的処罰は「記録の書」からの抹消であり、それは奴隷にされることをも上回る。この処罰を与えることができるのは聖職者の中で上位の者だけである。「Speakers of Truth(真実の語り手)」にはこの権限が与えられ、それは神学評議会の判事や有力な宗教団体の指導者にも与えられる。理論的には、皇帝も同じように誰かの名前を抹消することができるが、実務上、皇帝に代わって他の者が宣告するのが普通である。
「記録の書」から抹消されることは、存在しないものと宣告されることに等しい。宣告を受けた者は直ちに命以外のすべてを失うことになるが、場合によっては命も失うことになる。教会から破門され、永遠に呪われた存在となり、いくら悔い改めたとしても、神の目に好ましい立場を取り戻すことはできない。帝国内ではその名前そのものが禁じられ、それを口にすることは罪とされる。(但し独特な名前の場合を除いて、これは「書」から抹消された人について直接話す場合にのみ適用されると考えられる)
奴隷制はアマー人にとっては救済の道と考えられているところ、抹消された者は何の救済にも値せず、奴隷化しても他の奴隷を堕落だけだと考えられているため、記録の書から抹消された者が奴隷化されることはあまりない。一般的には、抹消された者は追放されるか、Dam-Torsadの地下牢に永久に拘禁され、他者から永久に隔離される方がより一般的である。抹消後にその危険性が判明した場合、処刑されるのもよくあることだ。
その厳しさから、抹消されるという怖れだけで十分であることが多い。継承者でさえも、その可能性をちらつかせるだけで黙らせることができるものだ。そのため、個人が実際に本書から抹消されることはまれである。
しかし、最近の記憶では何度か起こっている。注目すべき事例の1つは、あるカルト集団が「Aura」としてよく知られる女性、Excena Foerを襲撃した後、集団全体が抹消されたケースである。Arzad Hamriは、彼の霊が奴隷の元を訪れ、彼らをStarkmanirの反乱に駆り立てたと噂され、死語に記録の書から抹消された。最近では、Court Chamberlain(宮廷侍従長)のDochuta Karsothが処刑された後に書から抹消されたが、この出来事も処刑と同様、あまり公になっていない。
過去に一度だけ、皇帝が記録から抹消されたことがある。ザラグラム2世はアマー人の間でもまれにしか語られず、それも「狂皇帝」という蔑称で語られたに過ぎない。彼は暗殺された後、記録の帳簿から削除された。彼の書は燃やされ、彼の存在に関する記録は帝国から根絶され、彼が在位した期間さえも他の皇帝のものとされた。
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EVE Universe – Lore – Book of Records
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