探偵リヒトの事件簿06 「息づく街」 -Alive Haven-

2012年5月5日 初版

緑本9冊 + まえがき・あとがき・登場人物表 各1冊 + 捜査用ルーンブック1冊
価格 : 上記のセットで 9000gp
※ 緑本は一冊100ページ

 

あらすじ

リヒトとナオミンが初めて出会った街、ニューヘイブン。

Amser市長の求めに応じて久しぶりのこの街へやってきたふたり。

ナオミンは生家にて、リヒトはあの時の宿の二階でそれぞれ懐かしい夜を過ごす。

けれどAmser市長の依頼は、ドーン女王亡き後乱れる国情にまつわる重要なものだった。

大切なこの街のため快諾し、意気揚々と動き出したリヒト達を襲ったのは謎の襲撃者。

炎上する広場、おびえる人々……悲しい怒りでその様子を見つめるナオミンと収拾に努めるリヒトだったが、そんなふたりをあざ笑うかのように起こる第二の事件。

見えない敵にリヒトはどう立ち向かうのか?

失敗が許されない事件にリヒトがとった手段とは?

 

立ち読み! – プロローグ&Chapter1を読む –

 

解説

探偵リヒトシリーズ前作「ひだまりの記憶」が発売されたのは昨年、2011年11月のことでした。

その後2012年1月下旬のシリーズ外作品「ブリタニア孤島大辞典」を出版……そして今、2012年5月5日こどもの日。

とうとう完成いたしました本作です。

とりあえず過去最長です。言い訳と愚痴は、作品付属のまえがき、あとがきの中でさんざん書き散らかしましたのでここでは割愛させていただきます。

はじめは短編になるはずだったこの作品。事件は単純明快な大きなワントリックでまとめて、あとはリヒトとナオミンふたりにとっての始まりの地、ニューヘイブンでの情景をのんびり書ければ……と思っておりました。

が。

いろいろとつじつまを合わせているうちに、予定外の登場人物も増え、ナオミンも途中でニューヘイブンから飛び出してしまったり。かなり奔放な作品になってしまった感があります。そんな物語をうまく引き締めてくださったのが、特別出演のCyanさまです。(作中ではChanさまです)

元々ヘイブンの豪商として、週末になると中央広場にどっかと陣取っていらっしゃるCyanさまです。

その行動パターンそのものが、本作のプロットにうまくはまったというのがまずは第一ですが、そのユニークな言動に惚れ込み、ご出演をお願いしたものです。結果、実にのびのびと動いてくださり、彼の出演シーンではワタシの筆もスムーズに進みました。

また、前作を発表してから、いろんな方々から応援のお言葉をいただきましたが、リヒト派、ナオミン派、そして新登場のガゴ少女・ナナ派と、それぞれの方が彼らに思い入れを持ってくださっていると言うことを感じることができ、とても大きな力をいただけました。……ただ、それだけに、ナナの活躍がほとんどなくなってしまったことが残念かつ申し訳なく思ったり。

ただ、本作はリヒトとナオミンの原点回帰の物語でしたから、やむを得ません。次作からのナナの活躍をお楽しみに!

推理小説としては……ちょっと中途半端かも知れません。

過去最長になったとは言え、正直これでも相当削りました。本来手がかりを少しずつ出して、読者の方にも考えていただくべき部分を削り、リヒトの推理ですんなり進めてしまったり……なんとか最後の一ひねりで、推理小説らしさを感じていただければ良いのですが……。

本作は、今までの作品の中でも特に、自分的に、読者の方からの反応が予想できないものになっています。

シリーズも第六巻まできて、多くの方々に愛していただいているからこそ余計に気になるのが、独りよがりではなく「読者の方にとって楽しめる作品に仕上がっているか」ということです。口で言うのは簡単だし、全くもって当然のことなのですが、これがなかなか難しい。

自分の頭の中には先に世界と物語ができあがっているわけですから、自分自身の目で見ると、たいがいな駄文でもそれなりに普通に読めたりするのですよね。だからこそ、真っ白な状態で読んでくださる方にとって、普通に読んで理解していただける文章になっているか、これを自分で判断するには能力が必要であるように思います。

そして、ワタシにはそんな能力はありませんので、どうか読んでくださったみなさま。

感想をくださいね?

次回作をどうぞお楽しみに!

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